2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanism by which the nascent chain of E. coli SecM cooperatively stabilizes translation arrest
Project/Area Number |
21K15433
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丹澤 豪人 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員(常勤) (80899328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質合成 / リボソーム / クライオ電子顕微鏡単粒子解析 / 翻訳アレスト / SecM |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,リボソームにおけるタンパク質合成の途中でリボソームを停滞させることで翻訳を一時停止させる翻訳アレスト現象を引き起こすことが知られている大腸菌secM mRNAに着目し,大腸菌由来無細胞翻訳系を用いて形成させた70Sリボソーム・secM mRNA・SecM新生鎖による翻訳伸長中間体の構造解明により,SecMの翻訳アレストを新生鎖ペプチドとリボソームの両側面から理解を深めることが目的である. 2022年度では,前年度において無細胞翻訳系を用いて形成させたSecMリボソーム新生鎖複合体(SecM-RNC)について,300 kVのクライオ電子顕微鏡(Titan Krios G2)を利用して単粒子解析・構造解析を行った結果,局所分解能2.4Åで構造を決定した.リボソームのA,P,EサイトにはそれぞれPro166-tRNAPro,SecM新生鎖-Gly165-tRNAGly,デアシル化tRNAAlaが結合しており,Classical stateを形成していた.また,SecM新生鎖を示す密度マップがリボソーム出口トンネルおよびトンネル出口で観察され,そのコンフォメーションを主鎖のみならず側鎖レベルで解明した.先行研究で提唱されてきたSecMのアレストモチーフ(F150:P166)のうち二次構造予測等で予想されてきたF150:Q160は予測通りヘリックスを形成していた.興味深いことにモチーフ上流域(Y141:A148)は出口トンネルの狭窄部を構成するuL22と形状相補的に相互作用し,トンネル出口においてもrRNAと相互作用する残基を特定した. さらに驚いたことに,SecM翻訳アレストは新生鎖の寄与のみならず,mRNAのフレームシフトがストッパーのように働くことでAサイトtRNAとPサイトtRNAの構造を安定化し,より強固に翻訳停止を促進すると示唆される結果が得られた.
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