2021 Fiscal Year Research-status Report
The analysis for virulence factors of the legionella pneumophila strains with highly pathogenicity
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21K15444
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高橋 佑介 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (70827146)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レジオネラ / 強毒株 / 病原性因子 / 次世代シーケンサー / 生存曲線 / ハチノスズリガ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レジオネラ症の起因菌Legionella pneumophila SG1の強毒株が高率に保有する病原性遺伝子を探索し、その遺伝子から発現されるタンパク質の病態進行に関わる役割を明らかにすることを目的としている。2021年度は、保有する86株のL. pneumophila SG1の全遺伝子配列情報の取得とハチノスズリガを用いた病原性評価を計画していた。 2021年度は、L. pneumophila SG1の臨床分離株20株の全遺伝子配列データをイルミナ社のiSeq100システムにより取得した。そして2020年度までに取得した配列データを加え、標準株1株、臨床分離株30株が共通してあるいは個別に保有する全遺伝子を「GenAPI」というツールを用いてバイオインフォマティクス解析により明らかにした。次に、このうち、Sequence-based typingという遺伝子型別で相対的に近縁だった臨床分離株4株と標準株1株をハチノスズリガ(n=10)に感染させ、24時間ごとの生存率を比較した。その結果、臨床分離株2株を感染させた群は、標準株を感染させた対照群より生存率が有意に低く、残りの2株を感染させた群の生存率は対照群より有意に高かった。前者の2群は標準株より病原性が相対的に高く、後者の2群は病原性が相対的に低いことを示唆しており、言い換えれば、病原性が高い2菌株で共通して保有され、病原性が低い2菌株で共通して保有されていない遺伝子が高病原性遺伝子の候補となることを示している。 引き続き、残りの菌株を用いてハチノスズリガでの生存率の解析を進めることで、候補遺伝子を一定数に絞り込むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載した2021年度の研究計画項目におおむね着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き、全遺伝子配列データを取得したL. pneumophila SG1標準株および臨床分離株の、ハチノスズリガでの生存率データを収集する。ハチノスズリガに一度に感染させることができるのは50~80匹程度と限度があるという技術的課題があるが、濁度と菌数の相関関係をグラフ化して、菌液の準備をすぐできるように省力化することで対応する。 まずは30菌株の生存率と全遺伝子配列データを基に解析した保有遺伝子から、高病原性遺伝子の候補を絞り込む計画である。2021年度末時点でこの計画に大きな変更の予定はないが、例えば既知の病原性遺伝子(*)を保有する株で病原性が低い結果となる、あるいは、候補遺伝子があまりにも多く絞り込むことが困難になる場合は、各遺伝子の発現量を比較できるRNA-seq解析も併用することで対応する可能性がある。
*細胞内増殖に必須で膜小胞の安定化に関わるSdhA、細胞内侵入に必須の鞭毛成分flaAなど。
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Causes of Carryover |
2021年度にL. pneumophila SG1 20菌株の全遺伝子配列情報を取得予定だったが、2022年度取得予定に延期したため(計画には変更なし)。
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