2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of virucidal compounds derived from medicinal plants and these application to infection control against multiple pathogenic viruses
Project/Area Number |
21K15446
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
武田 洋平 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (30804447)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス / A型インフルエンザウイルス / ノロウイルス / ウイルス不活化 / 天然由来化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)やA型インフルエンザウイルス(IAV)、ノロウイルスと言った種々の病原ウイルスの感染制御対策の拡充に資する新規薬用植物、及びその活性中心化合物の探索、またそれら化合物の実社会における応用法の開発を目指した研究を継続している。今年度は、これまでの研究で見出したSaxifraga属植物由来縮合型タンニンのウイルス不活化活性及び作用機序解析を行った。この縮合型タンニンはin vitroのウイルス不活化活性評価試験において、4種の病原ウイルス (SARS-CoV-2、IAV、ヒトのノロウイルスの代替ウイルスである猫カリシウイルス及びマウスノロウイルス) に対し10秒または1分と言った短い反応時間でウイルスを90%以上不活化した。なお複数のSARS-CoV-2変異株に対して同等の不活化活性を示した。作用機序解析においては、縮合型タンニン処理したウイルスの各種構造タンパク質を標的としたウエスタンブロッティング解析を実施した。その結果、種々のウイルス構造タンパク質のバンドが縮合型タンニン処理により減弱・消失した。この結果は縮合型タンニンがウイルス構造タンパク質と何らか相互作用する可能性を示している。またウイルスの粒子構造を電子顕微鏡で直接観察したところ、縮合型タンニン処理を行った場合ウイルス粒子数の減少、ウイルス構造タンパク質の構造異常、ウイルス粒子同士の高度な凝集、またSARS-CoV-2やIAVにおいてはエンベロープ構造の破壊といった複数の異常像が確認された。また実際的なウイルス制御対策への応用の検討として、縮合型タンニンを含有する外用クリームの作出を試みた。このクリームを用いたin vitroウイルス不活化活性評価試験の結果、クリームとの接触により10分の反応時間において4種の病原ウイルス全てに対して90%以上のウイルス不活化が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究においては、Saxifraga属植物のウイルス不活化活性を担う活性中心化合物である縮合型タンニンのウイルス不活化活性およびその詳細な作用機序について多くのデータを得ることが出来た。またその成果を論文としてまとめ国際学術雑誌 (Applied and Environmental Microbiology) へ投稿し、2023年4月にアクセプトされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はSaxifraga属植物由来化合物のうち、縮合型タンニン以外にもウイルス不活化活性を有する化合物を探索し、その不活化活性の程度を評価する。それにより複数の単離化合物を組み合わせることで相加、相乗的な活性の増強が認められるかを解析する。また、実社会におけるウイルス感染制御対策への縮合型タンニンの応用の更なる検討を行う。一例として、既存の消毒薬 (エタノールや次亜塩素酸ナトリウム) へ縮合型タンニンを添加することで、エタノールや次亜塩素酸ナトリウムの濃度を下げてもウイルス不活化活性が維持されるか否かを評価する。これにより、既存消毒薬よりも生体に対する傷害性が低く、かつ効果的にウイルスを不活化可能なより安全性の高いウイルス不活化製品を作出できる可能性がある。
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