2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15447
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小柳 直人 福島県立医科大学, 保健科学部, 助教 (90738121)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HSV / CTL |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルス(HSV)はヒトに口唇ヘルペス、性器ヘルペス、皮膚疾患、眼疾患、脳炎、新生児ヘルペスなど多様な病態を引き起こす医学上重要なウイルスの一つである。HSVはヒトに一度感染すると終生潜伏感染し、様々な内・外的な刺激によって再活性化し、繰り返しヒトに病態を引き起こす。HSVの再発はその度にヒトにHSV特異的な免疫獲得の機会を与えるが、HSVはそれらを回避して何度もヒトに病態を引き起こすことからHSVは様々な宿主免疫回避機構を獲得していることが考えられる。ウイルス感染細胞の排除に重要な免疫細胞の一つに細胞障害性T細胞 (CTL)がある。これまでにHSVでは少なくとも3つのCTL回避因子、ICP47, Us3, UL13が報告されている。しかし、これらのHSV因子の知見は主にHSV-1のものであり、HSV-2については不明な点が多い。本研究ではHSV-2における新規CTL回避因子の同定およびその制御機構の解明を目的とする。令和4年度は昨年度までに実施した、HSV-2遺伝子発現プラスミドを用いたCTLからの傷害回避に寄与するHSV-2候補因子の同定によって得られたCTL回避HSV候補因子について、複数のHSV因子の欠損変異HSV-2を作製した。それらについて、HSV-2感染細胞におけるHSV特異的CTL応答、MHC-Iの細胞表面発現量、マウスを用いたHSV病態発現への影響を解析した。その結果、特定のHSV因子について、野生体ウイルス感染細胞に比べて欠損変異HSV-2感染細胞ではHSV特異的CTL応答が亢進し、マウスにおける病原性発現が低下することが示唆された。一方で、MHC-Iの細胞表面発現量には影響しないことが示唆された。よってこのHSV-2因子はこれまでHSV-1で同定されている因子とは異なる機序でCTLからの傷害回避に寄与することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通りに以下の解析を実施し、HSV-2の新規免疫回避候補因子の同定に至った。 (i)約80種類のHSV-2遺伝子発現プラスミドを作製した。(ii)培養細胞にHSV-2遺伝子発現プラスミドおよびMHC-Iに提示されるHSV抗原を導入し、HSV特異的CTLと共培養し、CTL応答が減弱するHSV-2因子を網羅的に同定した。(iii)HSVゲノム編集法を用いて、上記の複数の候補HSV-2因子を欠損させた組換えHSV-2を作製し、感染細胞におけるHSV特異的CTL 応答に与える影響を解析した。(iv)作製した候補HSV-2因子欠損組換えHSV-2を培養細胞に感染させ、CTLに抗原を提示する分子であるMHC-Iの細胞表面発現に与える影響を解析した。(v)作製した候補HSV-2因子欠損組換えHSV-2をマウスに感染させ、マウス致死率やウイルス増殖、病態発現への影響を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、申請時の計画通りに以下の解析を実施し、 新規CTL回避機構の解明を試みる。 (i)HSV-2候補因子によるCTL回避の分子機序の解明を試みる。(ii)HSV-2候補因子によるCTL回避に重要なアミノ酸やドメインを同定する。(iii)野生株、およびCTL回避因子欠損および変異組換えHSV-2をマウス病態モデルに供す。抗CD8抗体投与によるCD8陽性T細胞除去マウスにおけるウイルス増殖性や病原性を解析し、同定したHSV-2因子およびそのアミノ酸やドメインが生体レベルにおいてCTL回避に関与しているかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由)これまでに、HSV感染細胞ではCTLにウイルス抗原を提示する分子であるMHC-Iの細胞表面量が減少することが報告されていた。そこで、野生株、およびCTL回避候補因子欠損HSV-2を培養細胞に感染させ、MHC-Iの細胞表面発現への影響を解析した。その結果、このCTL回避候補因子はMHC-Iの細胞表面発現に影響を与えないことが示唆された。一方で、細胞種依存的な影響も考えられることから、新たに複数の培養細胞株を用いて検討を行う必要が生じた。そのため、本年度に実施予定であった解析の一部を来年度に実施することとした。 (使用計画)本年度に得られたHSV-2候補因子に関して、CTL回避機構および生体レベルでの意義を解析する。これらの実験の実施にあたり、一般試薬、培養試薬、牛胎児血清、プラスチック器具、抗体、マウス等の購入費が必要である。
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