2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of mechanism for delta virus replication
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21K15453
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩本 将士 名古屋大学, 理学研究科, 学振特別研究員(PD) (40825882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HDV / デルタウイルス / サテライトウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
D型肝炎ウイルス(HDV)を含むデルタウイルスは感染性粒子を構築するために他ウイルスタンパク質を利用する。デルタウイルスは1-2つしかウイルスタンパク質をコードしていないにも関わらず、宿主の免疫応答から逃れ、宿主因子および他ウイルスタンパク質を利用して感染性粒子を構築する。しかし、これら分子機序の多くは明らではない。本研究では、HDV複製増殖に寄与する宿主因子を同定するために遺伝子発現スクリーニングを行い、ウイルス複製増殖を阻害するインターフェロン応答遺伝子 (ISGs)を複数得た。このうち、再現性良くHDV感染複製を阻害するISGに着目し、他のデルタウイルス:トリデルタウイルス (tgDeV)、ウッドチャックデルタウイルス (mmDeV)への抗ウイルス活性を評価した。このISGはこれら2種のデルタウイルス複製も強く阻害したことより、デルタウイルス属に対して広範に抗ウイルス活性を有する可能性が示唆された。 デルタウイルスは複製増殖に臓器特異性をほとんど示さない。しかし、HDV、tgDeV、mmDeVの様々な臓器由来細胞株での複製増殖能を評価したところ、tgDeVは肝臓細胞で高い複製増殖能を示した。興味深いことに、これは鳥類由来の肝臓細胞で観察されたが、鳥類由来の非肝臓細胞およびヒト由来肝臓細胞株では高い複製増殖能を示さなかった。これは鳥類由来の肝臓細胞で特異的にtgDeV複製増殖を正に制御する宿主因子が存在する可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の申請者の研究により、複数種のデルタウイルス複製増殖を負に制御するISGを新規に得た。また、tgDeVの複製増殖により適した細胞内環境を有する細胞株も得ている。今年度ではこれら解析を進めることで、ほとんど報告されていないデルタウイルス複製増殖を制御する宿主因子とその機序を報告できると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度ではデルタウイルスに対して抗ウイルス活性を示すISGと各デルタウイルスとの相互作用を評価する。またウイルス感染によってこのISGの発現が誘導されるか検出する。また、デルタウイルスの複製増殖を制御する因子を同定するために、トリ肝臓細胞株と、トリ非肝臓細胞株、ヒト肝臓細胞株で発現するRNAを次世代シークエンサーを用いて検出し、トリ肝臓細胞株で特異的に発現する因子を絞り込む。候補遺伝子を低下させた細胞株でのウイルス複製増殖能を評価し、ウイルス複製増殖に関与する宿主因子を明らかにする。
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Research Products
(1 results)