2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of dynamic epigenetic changes caused by HTLV-1 infection.
Project/Area Number |
21K15454
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松尾 美沙希 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特定事業研究員 (20884604)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HTLV-1 / 成人T細胞白血病 / プロウイルス / 転写制御領域 / エンハンサー / エピゲノム動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1は人に病原性を示すレトロウイルスの1種であり、感染するとそのウイルスゲノムはヒトゲノムに組み込まれるという性質を持つ。昨年度までにHTLV-1ウイルス配列内にこれまでに未特定であったエンハンサー領域を同定し、その活性メカニズムとして転写因子SRFとELK-1の関与を示唆する結果を得た。さらにエンハンサー変異配列を含むHTLV-1分子クローンを用いた遺伝子発現解析において、同エンハンサー領域はウイルス遺伝子発現に対してだけでなく、宿主ゲノムの遺伝子発現にも影響を及ぼすことが示唆された。しかし、これらの遺伝子発現解析結果はHTLV-1の組み込み部位およびサンプル間の細胞特性によるものである可能性が否めない。そこで2022年度の本研究では、以下の解析を行った。 ・ゲノム編集技術を用いた野生型およびエンハンサー変異型細胞におけるHTLV-1同一組み込み部位周辺の遺伝子発現解析 昨年樹立したHTLV-1分子クローン感染細胞にゲノム編集を施し、エンハンサー変異配列を野生型配列に挿入した。遺伝子発現解析の結果、同一組み込み部位周辺において野生型で見られていた遺伝子発現上昇がエンハンサー変異挿入感染細胞においては抑えられるという結果が得られた。 ・同一患者検体内のHTLV-1感染および非感染におけるCD4 T細胞の転写動態シングルセル解析 HTLV-1感染臨床検体を用いてシングルセル遺伝子発現解析を行い、そのCD4 T細胞における結果をHTLV-1感染・非感染にリクラスターし、同一患者検体内における比較解析を行った。その結果、非感染CD4 T細胞においては見られない異常な遺伝子発現が感染CD4 T細胞にのみ認められた。 以上より、HTLV-1感染によってCD4 T細胞内の転写動態が変化し、その要因として本研究が同定したエンハンサー領域の寄与が示唆されるという研究成果を得た。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Identification and characterization of a novel enhancer in the HTLV-1 proviral genome2022
Author(s)
Misaki Matsuo, Takaharu Ueno, Kazuaki Monde, Kenji Sugata, Benjy Jek Yang Tan, Akhinur Rahman, Paola Miyazato, Kyosuke Uchiyama, Saiful Islam, Hiroo Katsuya, Shinsuke Nakajima, Masahito Tokunaga, Kisato Nosaka, Hiroyuki Hata, Atae Utsunomiya, Jun-ichi Fujisawa, Yorifumi Satou 
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 13
Pages: 2405
DOI
Peer Reviewed / Open Access