2021 Fiscal Year Research-status Report
ASK1に着目した脳室周囲白質軟化症の新規治療法の開発にむけて
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21K15463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 美登利 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90881441)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ASK1 / PVL / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
ASK1(Apoptosis signal-regulating kinase 1)はストレス応答性MAPKであるc-Jun N-terminal kinase (JNK)およびp38の最上流に位置するMAPKKKであり、多様なストレスにより誘導されるアポトーシスや、炎症性サイトカインの産生を中心とする免疫応答においてJNKおよびp38経路の制御を介して重要な役割を果たす分子である。本研究では、脳室周囲白質軟化症(PVL:Periventricular leukomalacia)発症における、ASK1の関与について明らかとすることを第一の目的とする。さらにはASKI欠損マウスおよびASK1阻害剤を用いた検討を行い、ASK1活性阻害によるPVL発症の抑制と早産児に対する治療の可能性を検討する。 現在、妊娠マウスへ腹腔内Lipopolysaccharide(LPS)投与によるPVLモデルを用いた解析を行うために、3種類のASK1ノックアウトマウスの交配で妊娠マウスを得ている。 ①群 ASK1-/- (メス)× ASK1+/- (オス)、②群 ASK1+/+ (メス)× ASK1+/- (オス)、③群 ASK1+/- (メス)× ASK1+/- (オス) 上記の交配で産まれた胎仔はジェノタイピングを行い、ASK1+/+, ASK1+/-、ASK-/-の3種類に分けている。また、各妊娠マウスにLPS投与を行い、胎仔および新生仔にオリゴデンドロサイトの障害に代表される白質障害が起こるどうかを各群ごとに確認している。現時点ではまだN数が少なく、実験の継続が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染対策のため実験を行えなかったことと、また勤務の合間で研究を行う時間が十分に確保できず予定通りに実験が進んでいない
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Strategy for Future Research Activity |
ASK1のキナーゼドメインに結合してASK1の自己リン酸化による活性化を阻害するASK1活性化阻害剤(K811)を用いて、上述したPVLモデルマウスを施行し、K811の治療的効果を検証する。妊娠中にK811を経母体的に投与し、仔脳でのPVL類似病変の改善効果を検証する。さらに、出生後の仔への投与でもPVL病変の改善効果を示すかどうかについても検証を行いたい。 早産児では、特に白質のオリゴデンドロサイト前駆細胞 (Oligodendrocyte precursor cells : OPC) が傷害を受け、OPC自身の脆弱性や白質血流の乏しさを背景として、さらに感染による炎症や虚血性負荷が加わることにより多くのOPCが細胞死を起こしPVLが発生することが知られている。OPCのストレス応答にASK1が密接に関与し、PVL病態形成に関わる可能性、およびASK1阻害による白質障害に対する治療的可能性を、ASK1KOマウス由来OPC初代培養細胞、さらにはASK1阻害剤を用いた実験により検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策のため実験を控えていたこと、勤務の合間に十分な研究時間を確保できず、研究費を次年度使用額に回すことになった。来年度は全額使用する予定である。
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