2021 Fiscal Year Research-status Report
HSV感染におけるTLR3リガンドの探索およびヌクレアーゼによる応答制御機構解明
Project/Area Number |
21K15464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 亮太 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90779703)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TLR / RNase / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトでHSVはヘルペス脳炎や皮膚炎を引き起こす。ヘルペス脳炎の患者に二重鎖RNA(dsRNA)であるTLR3のシグナル欠損が見つかっており、我々の結果からもTLR3-TypeI IFN産生シグナルがHSV感染防御に非常に大きな役割を果たしていると考えられる。そこで、ウイルス感染におけるTLR3応答制御の解明を行うために、本研究では、「HSV感染におけるTLR3リガンド探索」と「RNaseによるTLR3リガンドの制御機構の解明」の大きく分けて2つの点に着目して研究を進めている。 非感染、感染細胞からtotal RNAを抽出後、dsRNA精製キットを用いてdsRNAを精製したところ、感染後にdsRNAの量が増加していることが示された。 マクロファージで発現しているRNase4,6,T2の欠損した細胞株を作製し、TLR3の応答をみたところ、RNaseT2 欠損細胞では、TLR3応答が上昇していた。RNaseT2欠損細胞に 野生型を強制発現した細胞では、上昇していたTLR3応答が減弱した。RNase活性がTLR3応答に重要かどうか検証するために、RNase活性部位をアラニン置換した変異体を作製した。リガンドとRNaseT2野生型、活性部位変異体を混合したところ、野生型では、dsRNAが分解されたのに対し、変異体では分解が見られなかった。RNaseT2欠損細胞に活性部位変異体を強制発現した細胞では、上昇していたTLR3応答が変化なかったことから、RNase活性がTLR3応答に重要だということが示された。共焦点顕微鏡によりRNaseT2の局在を観察したところ、TLR3と同様、エンドリソソームに局在していることがわかった。これらのことから、RNaseT2はエンドリソソームに到達したdsRNAを分解することによりTLR3応答を制御することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである「RNaseによるTLR3リガンドの制御機構の解明」について研究が大きく進んだ。RNaseT2がリガンドを分解することによりTLR3応答を制御していることを示すことができ、実際に論文を投稿、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、ヘルペスウイルス感染後にdsRNAの量が増加していることが示された。今後は、リガンドを同定するために、TLR3に結合しているdsRNAをCLIP法を用いて同定することを考えている。さらに、同定された配列がTLR3に認識され、応答が惹起されるかどうかマクロファージ細胞株を用いて検討する。 RNaseT2がTLR3応答に重要であることは示された。RNaseT2ノックアウトマウスを作製済みなので、今後はin vivoでの表現型についてTLR3応答を中心に検証を行う。
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