2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K15465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半谷 匠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 客員研究員 (50785350)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダメージ関連分子パターン / 造血幹細胞 / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HMGB1が惹起する炎症・線維化について予備的知見を得るために、種々の組織特異的HMGB1欠損マウスの解析を行ったところ、造血細胞特異的にHMGB1を欠損させたマウス(以下HMGB1 cKOマウス)において、骨髄中の細胞の有意な減少を認めた。HMGB1が造血細胞の恒常性維持に重要であるという予期しない興味深い結果が得られたため詳細な解析を行ったところ、前年度までにHMGB1 cKOマウスにおいて長期造血幹細胞(LT-HSC)が減少していることを見出した。本年度はHMGB1欠損によるLT-HSC低下のメカニズムについて解析を行い、以下の知見を得た。(1) HMGB1欠損LT-HSCはアポトーシスの増加、および細胞周期解析においてS/G2/M期への蓄積が認められた。(2) HMGB1 欠損LT-HSCに対してRNA-seq解析を行うと、野生型LT-HSCと比較してLT-HSC特異的遺伝子群およびNotchシグナル遺伝子群の発現低下が認められた。また、p57、p27などのサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質の遺伝子発現低下、およびCcne1などのサイクリン遺伝子の発現上昇が認められた。HMGB1はクロマチン結合タンパクであり、DNA損傷修復および転写制御に重要であることが知られている。従ってHMGB1欠損LT-HSCは、DNA損傷の蓄積による細胞死の亢進、また幹細胞性および細胞周期に関わる遺伝子群の発現制御の異常によりLT-HSCの減少、および機能低下を来しているものと考えられた。HMGB1はこれまで種々の組織幹細胞の恒常性維持に重要であることが示唆されていたが、個体レベルでの解析はなされていなかった。本研究はHMGB1による幹細胞研究に新たな知見を提供するとともに、造血幹細胞を用いた臨床応用研究を促進する可能性があると言える。
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