2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞増殖因子プロセッシングのエンドクリン制御を起点とするがん転移ニッチ形成の研究
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21K15482
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 拓輝 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助教 (20781173)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HGF / MET / がん転移ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞増殖因子(HGF)は、前駆体として細胞外に分泌され、生体内に広く分布している。一方、創傷部やがん微小環境などの特異な生体内環境において、プロテアーゼによってその一部が切断・活性型へと変換され、細胞表面に存在する受容体METに結合・活性化し、生理機能を発揮する。そのため、HGFの活性制御およびMETの活性化は、局所的なイベントと考えられていた。しかし最近申請者らは、転移先臓器における特異ながん微小環境(前転移ニッチ:Pre-metastatic niche)の形成過程において、転移先臓器におけるHGFの活性化が重要な役割を担っている可能性について明らかにした。このことは、液性因子を介した全身性の活性制御機構が存在することを示唆している。 本課題では、この現象のメカニズム並びに生理現象としての普遍性の検証を目的に遂行される。 当該年度は、HGF阻害ペプチド投与による転移微小環境形成の阻害試験の実施、ならびに臨床検体を用いた普遍性の確認試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HGF阻害ペプチドを用いたin vivoにおける転移阻害試験を実施し、前転移ニッチを形成する免疫細胞のリクルート阻害並びにサイトカイン産生の抑制を確認した。また、形成される転移巣の数も減少し、HGFの活性化が転移微小環境の形成に重要であることを示した。 また、大腸がんの肺転移巣・肝転移巣の臨床検体を用いた免疫組織化学染色による解析の結果、組織中のHGFは、それぞれ気管支上皮細胞・胆管上皮細胞によって活性化され、転移ニッチを形成していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肺および肝臓の線維化モデルを使ってHGFの活性化レベルを検出し、転移微小環境におけるHGFの活性化との類似性について明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)