2022 Fiscal Year Annual Research Report
ALK肺がんの髄膜がん腫症におけるALK-TKI耐性克服治療の開発
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21K15483
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 祥子 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (80824870)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / ALK肺がん / 中枢神経系転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前の研究で、マウス髄膜がん腫症(LMC)モデルにおけるアレクチニブ耐性細胞(AR細胞)を樹立し、その耐性機構がEGFRのリガンドであるアンフィレギュリンの発現上昇によるEGFRの活性化に起因することを明らかにした。本研究では、ALKとEGFRを抑制することが報告されている第2世代のALK阻害薬であるブリガチニブでAR細胞の耐性克服後、治療を継続してブリガチニブ耐性を誘導し、その耐性機序を明らかにすることを目的とした。 まず、マウス髄腔内にAR細胞を移植し、LMCモデルを作成した。ブリガチニブを経口投与することで腫瘍の縮小が確認されたが再び腫瘍が増大したため、in vitroに戻してブリガチニブ耐性株(BR細胞)を樹立した。耐性因子を探求するために、kinase inhibitor libraryを用いてブリガチニブとの併用効果を検討した結果、Bcr-Abl阻害薬であるGZD824においてブリガチニブとの高い併用効果が見られた。ライブラリーに含まれるいくつかのBcr-Abl阻害薬についても同様にブリガチニブとの併用効果を示されたが、Bcr-Abl阻害薬として臨床で使用されているイマチニブにおいては併用効果が見られず、Bcr-Ablは耐性因子ではないことが示唆されたため、併用効果の見られた薬剤の他のターゲットを調べたところ、共通してSRCも阻害することが報告されていた。siRNAを用いてSRCをノックダウンしたところ、ブリガチニブによる細胞増殖抑制効果が高まったことから、SRCが耐性に関与していることが示唆された。これらの併用効果をin vivoにおいても検証した結果、皮下腫瘍モデルにおいてブリガチニブ単剤群と併用群に治療時の有意差はなかったが、治療中止後の腫瘍の再増大速度において単剤群と併用群で有意差が見られ、SRC阻害薬との併用が耐性克服に有用であることが示唆された。
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