2021 Fiscal Year Research-status Report
抗PD-L1抗体による腫瘍内血管制御を介した新規腫瘍抑制機序とバイオマーカー解析
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21K15488
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三橋 惇志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (00833732)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 血管新生 / 肺がん / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がん治療においてPD-1(Programmed cell death -1)やリガンドであるPD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されており、そのメカニズムや治療効果を予測するバイオマーカーが注目されている。免疫チェックポイント阻害薬は腫瘍微小環境に多大な影響を与えることで知られているが、腫瘍内血管新生への作用については未だ不明な点が多い。本研究では様々なマウス細胞株を用いた皮下移植モデルにおいて抗PD-L1抗体治療による血管新生制御メカニズムを解析し、治療効果予測因子としての応用を目的としている。 令和3年度の目的として、マウス腫瘍細胞株の同種皮下移植モデルにおける、抗PD-L1抗体による治療効果の検討および腫瘍内血管新生への影響を掲げた。担癌マウスに抗PD-L1抗体を投与したところ、治療感受性を示すモデル (AB1-HA, MC38, MCA205, AC29)では内腔を伴わない未成熟な腫瘍内血管が増加し、特徴的な網目状の低酸素領域を呈した。一方で、治療抵抗性を示すモデル (3LL, KLN205)では腫瘍内血管への影響を認めなかった。さらに、抗PD-L1抗体による腫瘍内血管への影響を組織透明化手技による三次元画像評価においても確認した。また、この腫瘍内血管への影響に寄与する因子として、腫瘍細胞由来CXCL9/10/11に着目し、治療感受性モデルでは抗PD-L1抗体治療によりCXCL10/11の血中濃度が亢進していることを確認した。さらに、非小細胞肺がん症例において血清中のCXCL10/11濃度は抗PD-1抗体治療効果と正の相関性を認めた。本研究により、腫瘍組織におけるCXCL10/11の発現亢進が、抗PD-1/PD-L1抗体の抗腫瘍効果、および腫瘍血管新生抑制効果に寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の目標として掲げた上記研究に関しては検討が進んでおり、さらに当初令和4年度に計画していた臨床検体を用いた検討、組織透明化手技による立体的な血管構造の評価についてもおおむね順調に経過していると考えられる。 令和4年度以降の目標としては、以下の2研究を行う予定とする。①初年度に同定した腫瘍細胞由来CXCL9/10/11について、それぞれが抗PD-L1抗体治療効果に及ぼす影響をshRNAによる遺伝子ノックダウンを用いて検討する。②抗PD-L1抗体治療により腫瘍細胞由来CXCL9/10/11が発現上昇するメカニズムの同定と、その発現を亢進させる機序について検討する。 上記①についてはすでに研究に着手しており、CXCL9/10/11それぞれを標的としたshRNAを導入した細胞株をマウスに皮下移植し、抗PD-L1抗体治療効果への影響を検討する。上記②については抗PD-1/PD-L1抗体治療抵抗性となるメカニズムとして、腫瘍細胞由来のCXCL10/11発現が抑制される可能性を考え、その発現を亢進するメカニズムを解析することで治療効果の促進を目指す。よって、現時点での総合評価として、おおむね進捗は順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究目標である、マウス腫瘍細胞株皮下移植モデルにおける抗PD-L1抗体の腫瘍進展抑制効果、血管新生への影響と治療効果との相関性を確認することができた。また、その機序において重要な役割を担うCXCL10/11の同定と、治療効果予測因子としての可能性を示した。 令和4年度以降の目標として、CXCL9/10/11それぞれが実際に抗PD-L1抗体治療効果や血管新生に与える影響を解析するとともに、それらの血管新生抑制作用を有するケモカインの制御メカニズムについて検討する。本研究を介して、免疫チェックポイント阻害剤による腫瘍内血管制御と、その制御因子として考えるCXCL10/11の治療効果予測バイオマーカーとしての有用性が示唆された。
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Research Products
(3 results)