2021 Fiscal Year Research-status Report
Insight into the functional role of TMEM180, a newly identified membrane protein that contributes to colorectal cancer cell proliferation
Project/Area Number |
21K15497
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
安西 高廣 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (80786137)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TMEM180 / 膜タンパク質 / 細胞内局在 / ゴルジ体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らが真に大腸がん細胞で特異的に高発現する腫瘍マーカー候補分子の1つとして見出した、機能未知の12回膜貫通型タンパク質TMEM180の分子機能解明を目的としている。 令和3年度は、TMEM180が細胞内のどこで機能するかを解明するため、TMEM180-GFP融合タンパク質のアミノ酸変異体や欠失体を作製することによる細胞内局在解析に注力した。これまでに、TMEM180を細胞内に一過性発現させると、主にゴルジ体に局在することを見出している。 局在化シグナルを探索するため、N末端、C末端側をそれぞれ50残基まで10残基ずつ欠失させた変異体を作製したが、ゴルジ体局在は変化しなかった。翻訳後修飾に着目し、データベースからリン酸化部位2箇所、ユビキチン化部位1箇所に変異を導入し、修飾が起きない変異体を作製したが、ゴルジ体局在は変化しなかった。TMEM180にはロイシン残基が全体の20%程度存在している。ロイシン残基が2つ続いたジロイシンモチーフと呼ばれる配列がタンパク質の細胞内局在に関与している例が知られている。そこで、8箇所に対してロイシン残基をアラニン残基に変異させた変異体を作製したが、ゴルジ体局在は変化しなかった。 オメガ3脂肪酸の輸送にかかわり主に細胞膜に局在するMFSD2AとTMEM180は、アミノ酸配列相同性は17%にすぎないが、2次構造が類似している。そこで、TMEM180のどの領域が細胞内局在に関与するかを突き止めるため、12本のαヘリックスの1-6番目、または7-12番目をMFSD2Aの配列と置換したMFSD2A-TMEM180キメラタンパク質を作製した。興味深いことに、いずれのキメラタンパク質もゴルジ体局在であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局在解析については、N末端およびC末端50残基、翻訳後修飾にかかわる残基、2つのロイシンが並んだ配列について変異体を作製し、少なくともこれらの配列はTMEM180の細胞内局在に関与しないことを見出すことができた。また、MFSD2Aとのキメラタンパク質も設計および作製が進んでいる。 また、機能解析については「TMEM180は代謝を通じて大腸がん細胞の増殖に寄与していること」「一酸化窒素生合成系に関わる遺伝子群に変動があることが見いだされ、NOS2やNOS3、PDE2AやPDE5AがTMEM180ノックダウン細胞で有意に低下していること」に関する論文の追加実験を進め、"TMEM180 contributes to SW480 human colorectal cancer cell proliferation through intra-cellular metabolic pathways"というタイトルでTranslational Oncology誌に受理された。 ノックアウトマウスを用いた形態学的解析についても長期飼育と観察を進めており、順調にサンプルを集めることができている。 以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
局在解析については、研究遂行中の2021年6月と8月、Nature誌にMFSD2Aのクライオ電子顕微鏡による立体構造が2グループから報告されたことから、より詳細な立体構造情報に基づいたキメラタンパク質の作製を進めている。現在のところゴルジ体局在が変化する変異体は見いだせていないものの、主に細胞膜局在であるMFSD2Aの一部をTMEM180に置き換えたキメラタンパク質を作製することで、細胞膜局在がゴルジ体局在に変化する配列を探索する予定である。TMEM180の細胞内局在メカニズムを突き止めることができれば、その情報を元に基質探索を進めていく。 形態学的解析については、採材したノックアウトマウスサンプルについて病理学的解析を進めることで、TMEM180の生体内での機能を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度当初はコロナ禍のため、新規の実験が開始できない状況であった。そのため、物品費や外注費の支出額が当初予定より少なくなった。また学会等もオンラインまたはハイブリッド開催となったため、旅費の支出もほとんどなかった。 令和4年度は順調に研究活動が行えているため、必要な物品の購入費および外注費、またオープンアクセス誌への投稿料として適切に使用する。
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Research Products
(2 results)