2021 Fiscal Year Research-status Report
Ror1-Rifシグナルによる血管擬態メカニズムの解明
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21K15504
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
紙崎 孝基 神戸大学, 医学研究科, 助教 (00883448)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Wnt5a-Ror1シグナル / Rif / 肺腺がん / 浸潤 / 増殖 / 血管擬態 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまでに、肺腺がん細胞においてRorファミリー受容体であるRor1が低分子量Gタンパク質であるRifと結合すること、Ror1およびRifは糸状突起の形成に重要であることを見出してきた。また、Ror1およびRifの発現量は肺腺がん患者の予後と相関することから、Ror1およびRifによって形成される糸状突起は肺腺がんの進展に重要であることが想定されるが、Ror1およびRifが糸状突起を形成する分子機構や、糸状突起がどのようにして肺腺がんの進展に寄与するかは十分に解明されていない。 本年度の解析から、RifはRor1の細胞内局在を制御することでWnt5a-Ror1シグナルを制御していることが明らかとなった。さらに、RifおよびRor1によって形成される糸状突起は肺腺がん細胞の増殖および浸潤において重要な役割を担っていること、特に浸潤過程においては肺腺がん細胞の極性化やMMP9の分泌に寄与していることを見出した。また、糸状突起は肺腺がん細胞同士の細胞間相互作用を介して血管擬態の形成にも寄与することを見出した。また興味深いことに、Ror1およびRifの発現を抑制すると血管擬態の形成が抑制されるとともに、ミトコンドリア形態にも異常が生じることが明らかとなった。ミトコンドリアと血管擬態の関係性については不明であるため、次年度はRifおよびRor1によって形成される糸状突起とミトコンドリア形態制御、血管擬態形成の関係性について解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、RifはRor1の細胞内局在を制御することでWnt5a-Ror1シグナルを制御し、糸状突起形成を促進することが明らかとなった。また、糸状突起は細胞増殖および浸潤において重要な役割を担うこと、特に浸潤過程では細胞極性を制御することで細胞外基質の分解に寄与していることを見出した。さらに、糸状突起は細胞間相互作用を制御することで血管擬態の形成や、ミトコンドリア形態の制御に関与する可能性を明らかにた。このように、論文作成に向けたデータが順調に得られていることから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
RifによってWnt5a-Ror1シグナルが制御されることを見出したが、Wnt5a-Ror1シグナルがどのようにして糸状突起を形成するのかは未解明である。また、血管擬態を形成する過程で、Ror1およびRifの発現を抑制するとミトコンドリアの形態に異常が生じることが明らかとなったが、ミトコンドリアの形態と血管擬態形成の関連については不明である。そこで、今後はRifおよびRor1によって形成される糸状突起とミトコンドリア形態制御、血管擬態形成の関係性について解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの流行による物流への影響により一部試薬の納品に時間を要し、実験が遅延してしまう時期があったため。
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Research Products
(2 results)