2021 Fiscal Year Research-status Report
Study for the mechanism of cancer malignant progression by an improved methylation-modification editing method
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21K15511
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
下川 倫子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (50843611)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / メチル化 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティクス研究の進歩によりDNAメチル化による癌抑制遺伝子の不活化も発がん因子と考えられるようになった。現在使用されているメチル化編集技術は、特定の遺伝子のみの発現制御が可能であり、特定の遺伝子が及ぼす細胞への影響をメチル化修飾編集前後の2段階で形質変化を比較・解析できる。さらに、メチル化修飾変化後のプロセスを多段階の機能解析し、複雑な癌悪性化獲得のプロセスを研究するために、現行のメチル化編集技術にプロテインノックダウン法であるAIDシステムを組み合わせることで、エピゲノムの変遷が及ぼす癌悪性化獲得のプロセスをより詳細に調査することを研究目的とした。 ヒト大腸がん細胞HCT116を用い、AIDシステムを用いたプロテインノックダウン法を導入するために必要な2種類のプラスミドを作製した。ゲノム編集により作成した2種類のプラスミドをHCT116細胞にノックインした。①植物由来TIR1をヒト細胞内で発現させるため、ゲノム編集によりセーフハーバー領域であるAAVS1へ遺伝子挿入し、薬剤選択を行った。②TIR1の挿入された細胞に、AIDシステムの分解標的となるdCas-TETに分解標的タグmAIDと蛍光標識を付加し、AAVS1挿入し薬剤選択を行った。編集されたHCT116細胞に目的の遺伝子が導入されているかを確認するために、ウェスタンブロティングを行い、目的タンパクの発現を確認した。また、Auxin添加によるプロテインノックダウンが正常に行われるかも確認した。編集されたHCT116を用いて、高メチル化領域を標的にしたgRNAの作製・選択を行い、メチル化領域への変化について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラスミドの作製は滞りなく作業が進んだが、作成したプラスミドが大きかったため細胞への導入効率が悪かった。また、AAVS1領域に2回のノックインを行ったため、2回目のノックイン効率が1回目に比べさらに悪く、編集された細胞を得るまでに思った以上に時間を費やしてしまった。編集されたHCT116細胞にAuxinを添加し、プロテインノックダウンの有無を蛍光強度の消失により確認したが、予想以上に反応が緩やかで、厳密に制御できていないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
編集した培養細胞HCT116を用いて高メチル化領域を標的としたgRNAの作製・選択を行う。選択されたgRNAを用いて、編集した培養細胞HCT116にトランスフェクションし、バイサルファイトシーケンスとNGSによってメチル化領域の変化を観察・測定する。 現在、編集した培養細胞HCT116はAuxin添加によるプロテインノックダウンの制御が厳密に行えていないため、研究の精度を上げる必要がある。そのため、TIR1の変異体と新リガンド 5-Ph-IAAを用いたAID2法を用いて、新たな編集細胞の作製を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、コロナの影響により学会等の参加がなかったため。また物品の購入についても世界情勢により商品の納期未定のものも多々あり、今年度中に納品されなかったため、予算を来年度へ持ち越すこととなった。
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