2023 Fiscal Year Research-status Report
線維化を介した局所免疫抑制機構の解明と線維化をターゲットとした免疫賦活化の可能性
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21K15514
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
渋谷 雅常 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30712244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 線維化 / 癌局所免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで当院で手術加療を行った大腸癌患者の検体を用いて癌微小環境を検討したところ、線維化の豊富な部位にはリンパ球の浸潤が乏しく、線維化が抗腫瘍免疫の抑制に関わっていることが明らかとなった。この結果は英文学術誌に投稿し掲載されている。 その後、マウスを用いて大腸癌オルガノイドの同所移植を行い線維化が腫瘍増大や免疫抑制に関わる機序を検討した。線維化促進物質であるFGF(fibrobrast growth factor)を移植時に混注したところ、癌間質の線維化が促進され(コントロール群と比較してマッソン染色にてコラーゲンの占有面積が有意に増大していた)、その結果リンパ球の浸潤が抑制されていること(単位面積あたりのTリンパ球の浸潤個数が有意に低下していた)が明らかとなった。また、腫瘍径を比較したところFGF添加群ではコントロール群と比較して腫瘍が有意に大きく、線維が促進に伴い腫瘍増大が促進されることも確認された。この結果は日本バイオセラピィ学会や癌免疫外科学会にて発表した。 今後はマウスモデルを用いて線維化抑制物質であるコラゲナーゼ投与群、非投与群における線維化の状況やリンパ球浸潤の程度に関して比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線維化が生じにくい細胞株を選択してしまったことにより、仮説を証明するために必要な線維化の促進が得られなかった。そのため、現在は線維化が生じやすい細胞株に変更し動物実験を継続中である。そのため、予定よりもやや計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は適切な細胞株に変更して予定していた動物実験を行っている。今後は移植したマウスに線維化抑制物質を投与して線維化促進が実際に抑制されること、それにより免疫細胞の浸潤が促進されて腫瘍増大が抑制されることを証明する予定である。
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Causes of Carryover |
実験に用いた大腸癌細胞株が線維化を生じにくいタイプであったため、線維化を生じやすい細胞株に変更して同様の実験を再度行う必要があった。そのため、現在は細胞株を変更して予定していた動物実験に取り組んでいる。
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