2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of anticancer drug resistance attenuation mechanism by autophagy inhibitory effect of arctigenin.
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21K15517
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
大久保 伸哉 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (00881872)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シスプラチン耐性KCP-4細胞 / アルクチゲニン / 耐性減弱効果 / アポトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の実績として、まずシスプラチン(CDDP)耐性KCP-4細胞の細胞増殖に対するarctigenin(ARG)の単独処理における影響を評価したところ、48時間後のMTTアッセイにおいてARGはKCP-4細胞の細胞増殖を阻害することが明らかとなった。ARGを培地中に添加し1週間継続培養し、定期的に培養中の細胞の数および形態を顕微鏡で観察したところ、細胞数に大きな変化はなく(増加も減少もしない)、形態にも明らかな変化は見られなかった。これらのことから、ARGはKCP-4細胞の細胞増殖を阻害するが、その阻害様式は殺細胞的ではなく、細胞を増殖させないような作用を有していることが示唆された。現在は、このARGの細胞増殖阻害作用の機序を、アポトーシスならびにオートファジーの両側面から評価しているところである。続いて、ARGおよびCDDPの併用処理におけるARGによるCDDP耐性減弱効果の有無を検証したところ、72時間併用までの短時間処理においてはCDDP耐性が保持されていたが、21日間併用の長時間処理においては、明らかにCDDPに感受性を示す(CDDP耐性減弱効果)結果が得られた。一方で、ARGを21日間単独処理後、ARGを培地中から取り除きCDDPを単独処理したKCP-4細胞においては、この効果はみられなかった。このことから、ARGはCDDPと長時間共存することによってCDDP耐性減弱効果を示す可能性が示唆された。KCP-4細胞は、CDDPの細胞内取り込み能が著しく低いことが明らかにされており、そのことがCDDPに耐性を示す要因のひとつであると考えられている。今回の結果から、ARGはCDDPと長時間共存することによって、KCP-4細胞のCDDP細胞内取り込み能を向上させ、耐性減弱効果を示した可能性が示唆された。2年度目は、この効果の機序を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の方向性としては期待した通りの結果が得られているが、期待した結果を得るためにARGを処理する時間が、想定よりもかなり長くかかってしまった。そのため、作用機序解析を行うためのウエスタンブロッティング用のサンプルの作成に、想定よりも多くの時間を要することとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な方策は、申請書通りの方法で良いと考えている。しかしながら、初年度で得られた結果から「オートファジー」に固執する必要性はない、という考えにいたり始めている。ARGを処理するとKCP-4細胞のオートファジーが変動するという着想に疑いはないが、このことはARGが有する作用の機序というよりは、なんらかの作用を示した結果オートファジーも変動するという可能性もあると考え始めている。今後のARGの活性評価において、オートファジーに限定せず様々な観点から活性評価を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況がやや遅れており、次のステップとして考えている実験はウエスタンブロッティングである。このステップにさしかかった時点で、導入時にまず複数の抗体を購入する必要がありこの抗体の単価が高額なので必然的に高い予算が必要となる。次年度使用額が生じた理由は、シンプルに、このステップまで研究を進めることができなかったためである。
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