2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K15518
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Research Institution | Sasaki Foundation |
Principal Investigator |
宮崎 允 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 研究員 (20804131)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん転移 / 腹膜播種 / 細胞クラスター形成 / 組織因子 / 血液凝固系 / フィブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究により、腹腔内における癌細胞のクラスター形成には組織因子(TF)を介した血液凝固系活性化が重要であることが分かった。そこで血液凝固系を介した癌細胞クラスター形成の分子メカニズムについてさらに解析した。また、TFノックアウト(KO)による腹膜播種への影響を調べた。本年度実施した研究計画を以下に示す。 計画④血液凝固系を介した癌細胞クラスター形成メカニズムの解析:腹腔内における血液凝固系活性化と癌細胞クラスター形成との関連について、フィブリンに着目し解析した。癌細胞クラスターの免疫蛍光染色の結果、フィブリン繊維に絡まるようにして癌細胞がクラスター形成している様子が観察された。よって腹腔内におけるクラスター形成にはフィブリンが重要であることが示唆された。 計画⑤TFKOによる腹膜播種への影響の解析:TFKO癌細胞およびTF野生型癌細胞をヌードマウス腹腔内へ移植し腹膜播種について比較した。その結果TFKO癌細胞において腸間膜腫瘍数および大網腫瘍重量が有意に減少していた。TFKOによりクラスター形成が抑制されることから、腹腔内におけるクラスター形成が腹膜播種に重要であることが示唆された。 計画⑥細胞クラスター形成及びフィブリンの腹膜播種における役割の解析:癌細胞-中皮細胞間の細胞接着におけるクラスター形成およびフィブリンの影響についてin vitro接着アッセイにより評価した。その結果、フィブリンは癌細胞と中皮細胞の接着を促進することがわかった。 2年間の研究成果をまとめると、癌細胞は腹腔内においてTFを介してフィブリン形成を誘導し、そのフィブリンを介してクラスター形成および腹膜へ接着することが明らかになった。このことからフィブリンを介したクラスター形成が腹膜播種に対する新規治療標的となることが示唆された。
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Remarks |
研究成果についてプレスリリースを行った。内容は下記ページに掲載されている。 http://www.sasaki-institute.org/wp-content/uploads/2022/11/佐々木研究所プレスリリース.pdf
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Research Products
(6 results)