2021 Fiscal Year Research-status Report
YAP/TAZを介した膵癌癌関連線維芽細胞の多様性獲得と癌進展機序の解明
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21K15534
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山尾 宣暢 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (70836337)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Hyperglycemia / 膵癌 / CAFs / YAP/TAZ / 腫瘍微小環境 / 抗がん剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで膵癌・胆管癌のがん関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblast: CAFs)における細胞膜タンパクのCaveolin-1の発現意義について研究してきた。Caveolin-1はECM構築に関わるYAP発現を調節していることが報告されている。今回膵癌におけるHyperglycemiaとYAP/TAZを軸とした腫瘍細胞進展のメカニズムを明らかにした。 初めにin vitro実験にて腫瘍細胞株においてYAP/TAZタンパク発現低下によってGLUT1タンパク、PI3Kシグナルが抑制されることを確認した。続いてHyperglycemiaは腫瘍増殖のみならずEMT促進に寄与することを解明した。また、抗がん剤による殺細胞効果の実験ではYAP/TAZ阻害剤との併用でsynergy effectをもたらすことが解明された。Hyperglycemiaは腫瘍細胞のみならずCAFsを活性化する一方、YAP/TAZ阻害剤を用いることで、ECM構築の抑制をもたらすことが解明された。 In vivo実験にてhuman cell lineによるorthotopic surgeryでin vitro実験を検証した。Hyperglycemiaが腫瘍増大をもたらした一方で、YAP/TAZ阻害剤によるレスキュー効果を確認した。 最後に手術検体を用いたIHCによって膵癌細胞におけるYAP/TAZタンパク発現と膵癌術後の生存、再発予後との相関性を検証した。YAP、TAZの高発現群はそれぞれ生存、再発共に予後不良であった。また、YAP/TAZ高発現群は有意にHbA1c高値であった。 以上より膵癌においてYAP/TAZメカニズムの解明は癌細胞のみならず腫瘍微小環境においても新たな治療方法獲得に向けたtranslational researchとなることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は膵癌CAFにおけるYAP/TAZがもたらす多様性(heterogeneity)について着目したが、膵癌細胞におけるhyperglicemiaがもたらす腫瘍進展メカニズムにおいてYAP/TAZ発現意義について焦点を当て研究を進める方針とした。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞におけるYAP/TAZシグナルと腫瘍微小環境のける免疫細胞との相互関係について研究中である。Hyperglycemia環境でのPD-1及びPD-L1発現、Foxp3、CTLA-4についてFACSでの評価を予定している。また、マウス細胞株を用いてin vivoでの実験モデルについても検討している。
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Causes of Carryover |
理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。
使用計画:薬、消耗品の購入費に充てたいと考える。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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