2021 Fiscal Year Research-status Report
EGFR変異肺がんにおいて併存するRBM10遺伝子変異の機能解析
Project/Area Number |
21K15546
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
南條 成輝 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (00722555)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | EGFR変異肺がん / RBM10 / スプライシング因子 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (EGFR-TKI) であるOsimertinibは、EGFR遺伝子変異陽性肺癌 (EGFR肺癌)に対して奏効し、高い有効性を示す。しかしながら、当初から腫瘍が縮小しない、初期耐性も2-3割に認め、この原因解明と耐性克服が重要な課題である。 申請者らはこれまでの検討により、EGFR肺癌患者でoncogeneであるEGFR変異のほかにco-mutationとしてRBM10遺伝子変異が7.6%で起こっていることをしめし、RBM10野生型でRBM10をknock outすることによりEGFR阻害薬によるアポトーシスが減弱することを明らかにした。また、逆にRBM10変異株ではRBM10のタンパク発現がなく、EGFR阻害薬の効果が低く、野生型RBM10を遺伝子導入して発現させることで効果が回復することを明らかにした。さらに臨床でのRBM10遺伝子変異共存症例でEGFR阻害薬のPFS、奏効率が有意に低いことも明らかにした。 また、RBM10はアポトーシス関連遺伝子Bcl-xのスプライシングを制御しており、RBM10の欠損によりアポトーシス促進因子Bcl-xSのアポトーシス抵抗因子Bcl-xLへの比が低下することが明らかになった。そこで、Bcl-xL阻害薬をEGFR阻害薬に併用することで、上記細胞株における初期耐性を克服できることを示した。 また、RBM10変異はEGFRL858R変異で、del19変異より5倍多く共存していることが明らかになったため、次年度は、その原因さらにEGFR肺癌の発がんへの関与について詳しく解析を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RBM10変異細胞株でEGFR阻害薬の効果が低いことが確認され、野生型のRBM10を発現させることでEGFR-TKI感受性の回復を確認することができ、Bcl-xL阻害薬の併用でも耐性克服を確認できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
RBM10変異細胞株でEGFR阻害薬の効果が低いことが確認され、野生型のRBM10を発現させることでEGFR-TKI感受性の回復を確認することができ、Bcl-xL阻害薬の併用でも耐性克服を確認できた。 今後はなぜRBM10変異はEGFRL858R変異で、del19変異より5倍多く共存しているのかを明らかにし、さらにEGFR肺癌の発がんへの関与について詳しく解析を進める。 詳しいメカニズムの解析の検討を行うために、正常気道上皮株でEGFR変異を遺伝子導入し、RBM10の有無による発がん性の違いについて検討する。違いを認めた場合は、マイクロアレイによる発現解析、パスウェイ解析を行い、マウスモデルでの検討を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度の実験が順調であり、次年度、タンパクやRNA発現解析およびマウス購入費に使用する。
|