2021 Fiscal Year Research-status Report
肺癌に対する非ウイルス遺伝子改変CAR-T細胞を用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K15547
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三浦 健太郎 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (70624716)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | CAR-T細胞療法 / 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は①フローサイトメトリーを用いた、肺腺癌細胞株における抗原Xの発現の確認、②X-CAR-T細胞作製系の確立、③抗原X高発現肺腺癌細胞株に対する、健常ドナー血液より精製した末梢血単核球から作製したX-CAR-T細胞のin vitro抗腫瘍効果について検証した。 ①フローサイトメトリーを用いた肺腺癌細胞株における抗原X発現の確認:当教室が保有する16種類の肺腺癌細胞株に対して、細胞表面における抗原Xの発現をフローサイトメトリーによって評価した。13種類に抗原Xの発現を認め、そのうち7種類は発現率90%であった。この7種類の中で、発現率99%以上の細胞株3種類を選定し共培養試験をおこなった。②X-CAR-T細胞作製系の確立:本研究では、抗原を認識する細胞外ドメインとして、生体に存在するリガンドを模したものを用いており、このリガンド型X-CAR-T細胞の作製系は、現在信州大学小児科教室において特許申請中である。非ウイルス遺伝子改変法であるpiggyBac法で作製したX-CAR-T細胞は、健常ドナー7人において、遺伝子導入後14日目の導入率が平均46%と安定した導入効率を認めた。③X-CAR-T細胞のIn vitro抗腫瘍効果の検証:3種類の肺腺癌細胞株に対して、X-CAR-T細胞のin vitro抗腫瘍効果を4日間の共培養の後にフローサイトメトリーで検証した。また、共培養開始後24時間時点で培養上清を採取し、IFN-γとIL-2濃度をELISA法によって測定した。3種類すべての細胞株に対して、X-CAR-T細胞は活性化T細胞と比較して有意に腫瘍の増殖を抑制し、IFN-γおよびIL-2も有意に高値であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro抗腫瘍効果の検証において得られた結果は、おおむね期待通りの内容であった。この結果をもとに、マウスを用いたin vivo抗腫瘍効果の検証に予定通り移行する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まずX-CAR-T細胞のIn vivo抗腫瘍効果を検証する。一方、抗原Xに対するリガンドは、生体ではこれを不活化させる因子が存在することが報告されている。本研究で作製したリガンド型X-CAR-Tも、細胞外ドメインに生体内に存在するリガンドを模しているため、in vivoでは、同因子による不活化によって抗腫瘍効果が減弱する可能性があり、結果によってはX-CAR-T細胞の再調整を必要とする可能性がある。 また、抗原Yに対するCAR-Tの作製系の確立および対象となる肺癌細胞株の選定、in vitro抗腫瘍効果の検証も進める予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和4年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
|