2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ RNA を用いた包括的な老化表現型の制御メカニズム解明と治療薬への応用
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21K15550
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 佑樹 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (50881265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | microRNA / Senescence / SASP |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化は正常細胞が持つがん抑制メカニズムである。しかし、老化細胞の特徴の1つで ある炎症性サイトカインの分泌(Senescence-Associated Secretory Phenotypes; SASP) はがん促進的にも寄与することが報告されている。そのため、細胞老化誘導型抗がん剤の開発を目指すには、この2つの側面を考慮する必要がある。これまでに、細胞老化を誘導するマイクロRNA (老化関連miRNA) に着目し、349 種類の老化関連miRNAをスクリーニン グにより同定しており、本研究では、これらの老化関連miRNAのうち、特にがん促進的に寄与する性質を持つSASPを抑制するmiRNAを同定し、SASP 制御性老化関連miRNAを副作用の 少ない老化誘導型抗腫瘍核酸医薬として応用していくことを目指す。さらに、継代老化過程 において発現変動するmiRNA が SASP 因子の発現を調節するメカニズムを解明することを目指している。 本年度は、これまでに同定した老化関連miRNAのうち老化誘導効果の高いmiRNAについて、標的遺伝子を解析し、SASP因子が含まれるかどうかを検討するため、AG02抗体を用いたRIPシークエンス解析を行った。また、細胞老化に伴い、どのようにSASP因子が変動するかを検討するため、老化成立後長期間培養した細胞、継代老化後早期の細胞、継代早期細胞を作成し、RNAシークエンスを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
老化細胞成立後、長期間培養した細胞の作成に想定よりも時間を要してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で作成をした老化細胞を用いて、small RNA および mRNA の網羅的な解析を行い、これまでに同定した老化関連miRNAと照らし合わせ、候補miRNAを速やかに同定する。 同定された miRNA について、機能性の評価や標的遺伝子の網羅的な解析を行い、該当miRNAがSASP因子を抑制するメカニズムについて明らかとする。 mRNA の網羅的な解析により得られたSASP因子について、実際の分泌量についても解析していく。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じたため、当初必要としていた試薬等を購入するまでに至らなかった。研究計画を適宜修正し、前年度計画分を含め、2022年度に研究を行う。
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