2021 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析を用いた乳癌の腫瘍内不均一性の機序解明と新規治療戦略に関する研究
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21K15563
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
椎野 翔 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (60784527)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳癌 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
シングル細胞遺伝子発現解析技術を用いることで、乳癌において治療抵抗性の一因となる腫瘍内不均一性の形成に関与する遺伝子群および新規バイオマーカーの同定を実施中である。すでに自施設内で乳癌の検体を用いたシングル細胞遺伝子発現解析を実施しており、その遺伝子発現データを得られた。我々は自施設内で実施した乳癌のシングル細胞遺伝子発現解析データと公共データベース(GEO: The Gene Expression Omnibus database)内に登録されている各データセットを統合し、大規模な乳癌シングル細胞遺伝子発現解析プラットフォームを作成し、より大規模かつ詳細な遺伝子発現データを用いて解析を実施した。症例内訳は、原発巣82例(浸潤性乳管癌:75例、非浸潤性乳管癌:7例)、転移巣8例であった。各サブタイプごとの原発の浸潤性乳管癌症例に対してクラスタリング解析を実施したところ、上皮細胞・各種免疫細胞・内皮細胞・間質系細胞等のクラスターで構成されていた。さらに、上皮系マーカー(KRT8)発現のある細胞集団を抽出し、Luminal型症例に絞ってクラスター解析を行ったところ、乳癌関連遺伝子(ESR1・PGR・ERBB2・MKI67・MYC等)発現において不均一な分布が確認された。特に、MKI67発現の高いクラスターが一部で確認され、かつ有意に高発現な遺伝子群が同定された。同クラスターの機能解析とともに、高増殖能に関与する新規バイオマーカーを探索中である。これらの解析データをもとに、クラスター解析および各クラスターの機能解析を実施しており、腫瘍内不均一性の形成に関与する遺伝子群の同定およびホルモン受容体やHER2(human epidemal growth factor receptor 2)発現を調整・制御するmiRNAとの関与等を今後調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自施設内でおおむね順調に乳癌のシングル細胞遺伝子発現解析を実施できており、その解析データも徐々に収集されている状況である。より信頼性の高い遺伝子発現群・新規バイオマーカーの同定を目的とし、より詳細かつ網羅的なデータ解析のために、自施設でのデータと公共データベースとの統合解析を実施することとしている。今後、腫瘍内不均一性の形成に関与する遺伝子群の同定およびホルモン受容体やHER2発現を調整・制御するmiRNAとの関与を調査していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
治療抵抗性の一因となる腫瘍内不均一性の形成に関与する遺伝子群の同定およびホルモン受容体やHER2発現を調整・制御するmiRNAとの関与を調査していく予定である。
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Causes of Carryover |
より信頼性の高い遺伝子群の同定を行うために、公共データベースを含めた網羅的なデータ解析を行なっており、その研究計画の一部変更に伴って、使用する予算の配分が変更となった。
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