2021 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌における化学療法駆動性抗腫瘍免疫の解明と治療応用
Project/Area Number |
21K15570
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安藤 陽平 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40746864)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胃癌 / 化学療法 / シングルセル解析 / 治療耐性化 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、胃癌においても免疫療法が標準的治療の一つとなり、胃癌における腫瘍微小環境(TME)の解明は進んでいる。しかし、未だに腫瘍微小環境(TME)の全容は解明されておらず、進行胃癌の予後は依然として不良である。本研究では、1細胞ごとの網羅的遺伝子発現解析を行うシングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)を用いて、化学療法によって誘導される腫瘍微小環境(TME)の変化に着目し、治療耐性化の機序解明を目的とした。当科で胃切除術を施行した胃癌症例から採取した腫瘍部と正常粘膜を対象とし、術前化学療法(NAC)の有無によって変化する免疫細胞とその機能的変化についてシングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)を用いて評価した。全9症例の統合解析を行った結果、術前化学療法(NAC)群でCD8陽性T細胞は殺細胞性が、疲弊化因子とともに変化していた。また、術前化学療法(NAC)群で腫瘍細胞と制御性T細胞の免疫抑制因子の変動をみとめた。以上から、胃癌に対する化学療法によって、腫瘍微小環境(TME)における免疫原性が変化すると同時に、腫瘍は免疫回避機構として免疫抑制環境を変化させていくことが示唆され、それが治療耐性化の機序の一つである可能性が考えられた。シングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)による解析は進行中であり、引き続き解析を行うとともに、今後、本研究で明らかになった免疫抑制因子を標的とした免疫療法やその免疫療法との併用に最適な化学療法についてマウスモデルで検討する。
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