2021 Fiscal Year Research-status Report
ctDNA検査を用いた食道癌の免疫チェックポイント阻害剤の適正使用の検討
Project/Area Number |
21K15575
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
二階 春香 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90750860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食道癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 / Circulating tumor DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬 (immune checkpoint inhibitor: ICI)治療では効果を示す患者群は10-20%に限られるが奏功例では長い奏功期間を示すことが知られており、既存の抗がん剤治療とは異なる経過をたどることがある。多くの癌腫で適応・使用症例が拡大しており、がん患者の予後改善のため寄与していると考えられるが、未だ効果予測のバイオマーカーなど不明な点も多い。ICIは高額な薬剤であり、ICI適正使用が今後の重要な課題である。 近年、腫瘍細胞より血中に遊離したDNA :Circulating tumor DNA (ctDNA)は症例特異的低侵襲バイオマーカ―検査として注目されており、当施設では癌患者における症例特異的変異を対象としたdigital PCRを用いたctDNAモニタリングの妥当性を見出している。本研究ではICI治療を行う食道癌で、digital PCRを用いたctDNA検査による早期効果判定がICIの適切な使用の指標となりうるかを検証することが目的である。ICIを含む化学療法を受ける食道癌症例について治療前変異スクリーニングを行い、ctDNAモニタリングを開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療前原発巣組織が採取できない症例では、血漿DNAで変異スクリーニングを行った。化学療法開始後の早期ctDNA変動がその後の治療効果、効果持続期間、予後を正確に予測できることを明らかにした。今後、ICIに焦点を絞った解析を予定しており、ctDNA変動と画像所見、腫瘍マーカー等との比較を行う。ICI投予では急速な増大を示すhyper progressive disease (HPD)が一定の割合でみられるが、HPDを呈した症例では約1か月でctDNAの変異アリル頻度が0.1%から 80%と著明な上昇を認めることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、多くの癌腫では従来の標準治療終了後の後方治療としてICIが使用されており、食道癌においても同様であった。しかし、最近では様々な癌腫の1次治療において、ICIと化学療法の併用療法が標準治療として承認されてきているため、ICI単独使用の機会が減少してきている。食道癌においても、2021年12月に化学療法(シスプラチン+5-FU)とペムブロリズマブの併用療法が根治切除不能な進行・再発食道がんに対する一次治療として承認された。今後はICI単独症例と化学療法併用症例との比較や、放射線治療後のICI効果、術後補助療法としてICIの評価など、実臨床に合わせctDNAモニタリングの対象症例を拡充していく。
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