2021 Fiscal Year Research-status Report
Three-dimensional genomic expression analysis of gynecological multiple cancers and recurrent cancers to reveal oncogenic mechanisms and therapeutic targets
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21K15576
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹田 貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (60897106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 重複癌 / 相同組み換え修復欠損 / マイクロサテライト不安定性 / PARP阻害剤 / 微小残存腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、MSI-H(高マイクロサテライト不安定性)やHRD(相同組み換え修復欠損)のような、治療選択に使用され、かつLynch症候群や遺伝性乳癌卵巣癌症候群などの遺伝性腫瘍にも認められる特徴に着目して、3次元的(遺伝背景別・臓器別・時間別)に腫瘍のゲノム変異、腫瘍免疫関連タンパクの発現などを比較解析することにより、特に子宮体癌、卵巣癌の発癌、再発機序の解明、新規治療法の開発などに繋げることを目的としている。 本年度はまず、ペンブロリズマブのコンパニオン診断として用いられるMSI-Hに注目し、単施設99例のMSI検査施行者のデータを収集した。MSI-Hは婦人科癌において3/99(3.0%)で陽性であり、子宮体癌としては11.5%(3/26)、子宮体癌卵巣癌の重複例を含め卵巣癌で2.6%(1/38)、その他子宮頸癌などではMSI-Hは認められなかった。この婦人科癌におけるリアルデータをまとめ論文として公表した。MSI-Hを認める症例においては、その要因となるミスマッチ修復(MMR)機構の欠損を確認するため、MMRタンパクの発現および腫瘍免疫関連タンパクとしてPD-1, PD-L1, CD8などの免疫染色を行っている。特に再発例で腫瘍摘出を行い、ペンブロリズマブの使用症例は、初発巣および再発巣間でMMRタンパクや腫瘍免疫関連タンパクの発現を比較解析し、その発現の変動や治療効果との関連を解析している。 また、HRD検査を施行している症例で、特に進行例で化学療法前生検(Lap生検)を行い、術前化学療法後に根治術(IDS: interval debulking surgery)をおこなった症例では、Lap生検検体とIDS時の残存病変(MRD:minimal residual disease)からゲノムDNAを抽出し、全ゲノムシークエンス解析をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
もともと、所属機関で既に集積していた検体を用いて、研究を進めていく予定であったが、コロナの感染状況により、研究者が研究機関での研究遂行が難しい時期があり、本務先での検体も含めて研究を進める必要があり、その倫理委員会の手続き、症例の集積に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな症例の集積を行い、HRDを有する卵巣癌症例を抽出し、Lap生検検体およびMRD検体合計8検体(Lap検体+MRD2例および初回治療検体4症例)に対して、腫瘍部のDNA抽出、次世代シークエンサーによる全ゲノム解析をおこなっている。臨床において用いられているHRD検査によるゲノム不安定性スコア(GIスコア)と全ゲノム解析から算出されるGIスコアの比較解析を行い、本研究解析の精度を確認しつつ、Lap生検検体およびMRD検体でのGIスコアの推移、腫瘍ゲノム変異の変化を解析する。また、そのゲノム変異の変化と初回抗がん剤の治療効果、その後の再発の有無などを解析し、治療効果や再発に影響しうるゲノム変異の候補を抽出する予定である。
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Causes of Carryover |
解析対象症例のリクルートに時間を要したため、必要な物品や解析費用等が、本年度の支出に至らなかった。既に解析対象検体のDNA抽出や外部解析は進めており、本年度未使用分は次年度早々に支出を予定している。また、解析結果から得られた内容を踏まえ、物品、論文投稿の校正等に使用する予定である。
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