2022 Fiscal Year Annual Research Report
Three-dimensional genomic expression analysis of gynecological multiple cancers and recurrent cancers to reveal oncogenic mechanisms and therapeutic targets
Project/Area Number |
21K15576
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹田 貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (60897106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性乳癌卵巣癌 / 相同組み換え修復欠損 / 卵巣癌 / 治療抵抗性 / 重複癌 / オルガノイド / 発癌 / リンチ症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、3次元的(遺伝背景別・臓器別・時間別)に腫瘍を比較解析することにより、特に子宮体癌、卵巣癌の発癌、進展、再発機序の解明、新規治療法の開発へ繋げることを目的としている 。昨年度マイクロサテライト不安定検査施行症例の解析から抽出した症例に続き、ミスマッチ修復遺伝子の生殖系列バリアント保持者における子宮体癌卵巣癌重複癌4例8検体を用いて、各原発癌組織の全エクソーム解析を行った。近年の解析報告では、重複癌間でのバリアント相同性が指摘され、重複癌は転移性腫瘍ではないかとの報告があるが、本解析では相同性はほぼなく、遺伝学的背景を持つ組織学的に明らかに違う重複癌は、それぞれ異なる特有のバリアントを獲得しながら発癌していることが示された。 さらに漿液性卵巣癌の初回治療による時間的変化を明らかにするため、HRD(相同組換修復欠損)に着目し、化学療法前生検及び化学療法後根治術を行った症例で、化学療法前後の腫瘍検体に対して全ゲノムシークエンス(WGS)解析を行った。保険収載されている現行のHRD検査と比較して、WGSによって算出されたHRDスコアは、HRDスコアが高い癌組織BRCA変異陽性例ではほぼ値に差はなかったが、HRDスコアが低い検体では異なって算出された。術前化学療法前後の検体で検査可能であった2例を解析すると、前2点後7点と変化が乏しい例と、前35点後65点と変化が著明だった例を認めた。今後、化学療法によるHRDの変化の要因について、さらに解析していく。 この三次元的解析をin vitroで経時的に解析すべく、特に発癌モデルの開発を目指して、正常組織由来オルガノイドの樹立に着手し、今年度は卵巣癌発癌モデルとして複数のヒト由来正常卵管オルガノイドを構築した。現在CRISPR-Cas9を用いた遺伝子編集を継続しており、今後発癌モデルとして解析を継続する。
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