2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K15581
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小林 祥久 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30734628)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺癌 / 薬剤耐性 / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんは最も死亡者が多いがん種である。肺腺がんのうち日本人の50%に EGFR遺伝子変異があり、このタイプにはEGFRチロシンキナーゼ阻害剤オシメルチニブが著効する。しかし、一度効いても約1-2年後に必ず耐性となり再増悪してしまうことが問題である。 研究代表者はこれまで、薬剤耐性としてのEGFR二次変異の克服法について研究してきた (Mol Cancer Ther 2017 , J Thorac Oncol 2018)。また、CRISPR-Cas9を応用して肺がんを引き起こす新規融合遺伝子のモデルを作成し、MAPK経路の活性化による腫瘍原性を示した (Clin Cancer Res 2020)。 本研究では、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を薬剤耐性研究に応用して、CCDC6-RET融合遺伝子とESYT2-BRAF融合遺伝子を作成した。これらのモデルはEGFR阻害剤に耐性となった。EGFR阻害剤にRET阻害剤とMEK阻害剤をそれぞれ併用することでこれらの融合遺伝子による耐性を克服できることを見出した。さらに、併用療法で長期間治療を続けるとCCDC6-RETの遺伝子増幅とESYT2-BRAFの遺伝子増幅、YAP1の遺伝子増幅、EGFR野生型の遺伝子増幅など様々な遺伝子増幅が起こった。さらに、MET遺伝子増幅を起こすことにも成功した。これらのことから、このモデルは薬剤耐性としての遺伝子増幅を起こしやすい特性を持っていると考えられた。その素因を明らかにするために、超低継代全ゲノムシークエンスでゲノム上のどの領域に遺伝子増幅が起こったかを明らかにしながら、原因遺伝子の同定を継続中である。また、遺伝子増幅を起こしやすい因子を臨床検体で解析することを見据えて、良質な核酸を抽出できる臨床検体の収集・基盤構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞モデルの構築と解析、臨床検体収集の基盤構築など予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成したモデルから、機序解明を継続する。また、収集した臨床検体の解析からもアプローチする。
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Causes of Carryover |
外注検査として予定していたシークエンス料金を、一部共同研究にすることで効率良く結果を得ることができた。これに伴って、次年度での細胞実験をさらに発展させるために消耗品額を増額する。
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