2022 Fiscal Year Research-status Report
Genomic and epigenomic analysis of dedifferentiated liposarcoma
Project/Area Number |
21K15601
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅野 尚文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10445299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脂肪肉腫 / 脱分化 / ゲノム解析 / クローン進化 / メチル化解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱分化型脂肪肉腫は、染色体12q13-15領域の高度増幅を特徴とし、高分化(以下、WD)成分と非脂肪性の増悪である脱分化(以下、DD)成分によって構成された軟部腫瘍である。一般に、12q13-15増幅を有するWD成分中に、脱分化を引き起こす新たな異常を獲得したクローンが発生し、DD成分が形成されると考えられているが、脱分化の明確なトリガーは解明されていない。我々は多領域解析を行うことで、そのクローン進化を推定した。3症例の脱分化型脂肪肉腫を対象として、10サンプルずつ腫瘍組織検体を採取し、1)ゲノム(全エクソームシーケンス)、2)エピゲノム(DNAメチル化アレイ)の多領域解析を実施した。 1)各症例内の全サンプルに共通した体細胞遺伝子異常(変異+コピー数異常)は12q13-15高度増幅を含む4、26、2個だったのに対し、同一成分(WDまたはDD)内の全サンプルに共通した遺伝子異常は、WDで27、0、12個、DDで55、26、81個であった。3例中2例においては、全サンプルに共通するものが極めて少なく、WD成分とDD成分が早期に枝分かれするクローン進化が推定された。2)WD成分は全症例において正常脂肪と類似したDNAメチル化パターンを有していたが、DD成分は症例間で傾向が異なり、症例特異的な脱メチル化が広い領域で生じていることが明らかとなった。また、メチル化パターンから予測された系統樹は、遺伝子異常から予測された系統樹と類似していた。 本研究によって、一部の脱分化型脂肪肉腫においてはWD成分とDD成分が腫瘍形成の初期に分岐し、別々のクローン進化を遂げていることが明らかになった。また、脂肪分化・形成に関連する遺伝子の発現及びDNAメチル化パターンから、脱分化にDNAメチル化異常が寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はRNAシーケンスによる遺伝子発現解析を予定している。
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Causes of Carryover |
学会に参加予定であったが,状況を鑑みて見送った.使用予定であった試薬が,情勢不安のため年度内入荷が見込めなかった. 以上の理由などから執行計画に変更が生じた. 持ち越した予算は、予定している解析にかかる費用等へ充てる計画としている
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