2022 Fiscal Year Research-status Report
神経修飾物質による行動文脈依存的な視知覚修飾の局所回路から全脳レベルでの機序解明
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21K15613
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 彰典 名古屋大学, 創薬科学研究科, 研究員 (20881204)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経修飾物質 / 視知覚 / マウス / 広域イメージング / ウイルストレーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、神経修飾物質が神経活動および視知覚に与える影響とその神経機序について、行動レベルから、領野・回路・神経細胞レベルにわたって統合的に明らかにすることである。視知覚に対する神経修飾物質の修飾作用については研究されてきているものの、その対象は一次視覚野をはじめ一部の領域に限られ、皮質全体におよぶ広範囲の領野や領野間での研究はほとんどなされていない。そこで、各神経修飾物質に対応した蛍光センサータンパク質を導入し、広域Ca2+イメージング法による皮質全体の神経活動解析、およびG欠損狂犬病ウイルストレーシング法と二光子Ca2+イメージングによる回路特異的な神経活動解析と組み合わせることにより、神経修飾物質による神経修飾作用とその視知覚への影響を、多層的なレベルにわたって検討を行う。 当該年度においては、前年度に機能することが確認できたアセチルコリンセンサータンパク質を元に、全脳に発現させるためのウイルスベクターの改良を行った。その後、視覚刺激検出課題中のマウスから、発現させたアセチルコリンセンサーを用いてアセチルコリン動態のイメージングを行った。その結果、皮質領域ごとに異なる蛍光強度変化が観察され、またその蛍光強度変化が学習に伴って変化していくことが確認できた。さらに、アセチルコリン動態と同時に神経活動を記録するための多色イメージングシステムの構築も進めており、次年度はアセチルコリン動態と神経活動の関係についても検討を行い、神経修飾作用とその視知覚への影響を明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度確認できたアセチルコリンセンサーを用いて、複数匹の視覚刺激課題遂行中マウスのアセチルコリン動態計測を行った。また、今後に向けての多色イメージングシステムの構築もおおむね完了していることから、これらより今年度においてもおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、アセチルコリンセンサーの広域イメージングを行い、課題の時間推移に応じて領域ごとに異なる時空間動態を示すことを明らかにしてきた。今後は、現在構築している多色イメージングシステムを用い神経活動の同時記録を行うとともに、各脳領域において蛍光センサータンパク質および経路特異的にCa2+感受性蛍光タンパク質jGCaMP7fを発現させ、2光子Ca2+イメージング法を用いることで1細胞レベルでの神経活動記録を行う予定である。これらの実験を通じて、引き続き神経修飾物質による神経修飾作用とその視知覚への影響の解明を進めていく。
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