2021 Fiscal Year Research-status Report
独自のパーキンソン病前駆期モデルマウスを用いたドパミン神経細胞変性機序の解明
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21K15624
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生野 真嗣 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30808960)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / アルファシヌクレイン / 神経細胞死 / モデルマウス / 前駆病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はパーキンソン病(PD)において運動症状発症前に生じている前駆病態とドパミン神経細胞死との関連を明らかにするための基礎知見を取得することである。アルファシヌクレイン(α-syn)の蓄積とPD前駆病態、そしてドパミン神経細胞死の開始前から軽度脱落状態までを再現した独自のモデルマウスを用い、前駆病態とドパミン神経細胞死との経時的な相関性を検証する。計画初年度である2021年度には、α-syn病理の広がりを病理学的に解析した他、全身での前駆病態と中枢神経病態を繋ぐ炎症・代謝等の因子を探索するため、血漿の代謝産物解析を行った。また、前駆病態に関連する介入実験として、主に睡眠に関する表現型(レム睡眠行動障害)に介入する実験を進め、睡眠障害の変化を確認した。 2022年度は引き続き、パーキンソン病前駆病態における脳と全身の連関に着目した解析を進めるとともに、前駆病態への介入でドパミン神経細胞死がどのように変化するかを検証する。本研究の成果はPDにおけるドパミン神経細胞死のトリガーの解明、ひいては超早期診断および予防法開発に繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全身のα-syn病理の経時的検索、および血漿を用いた代謝産物解析は予定通り進捗している。前駆症状への介入に関しては、コロナ禍が長引いていることによる出張制限から自施設での睡眠解析体制を構築する必要があり、2021年度はその構築を最優先とした。嗅覚低下への介入、消化管症状への介入についても、研究費の範囲内で実行できる内容への調整および自施設や出張を要さない形での他施設との連携などの方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に施行した、全身のα-syn病理の広がりと血漿の代謝産物解析の結果をまとめ、脳と全身の臓器連関に着目した論文報告を予定している。また、前駆病態に関連する介入実験としては2021年度に確立した自施設での睡眠解析方法により、N数を増やしアルファシヌクレイン病理と睡眠異常との関係、およびドパミン神経細胞死への影響を検証する。さらに嗅覚低下や消化管症状への介入についても現在の社会情勢で可能な形での実験を開始する。
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Causes of Carryover |
別の若手研究費(19K16914)に関して期間延長を行った関係で、共通する実験基盤についてはそちらを優先的に使用した。また、コロナ禍の影響で主に前駆病態への介入実験を延期して体制や方法を構築し直す必要があり、次年度使用額が生じた。
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