2022 Fiscal Year Research-status Report
止血目的の緩和的放射線治療における単回照射と多分割照射の比較に関する研究
Project/Area Number |
21K15639
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片野 厚人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80822410)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線治療 / がん / 治療スケジュール / 放射線量 / 止血効果 / 腫瘍出血 / 症状緩和 / 緩和医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療は、がんの症状緩和を目的とする治療法であり、不可欠なモダリティの一つである。腫瘍出血に対する放射線治療は、高い止血効果が得られる代表的な例であり、その効果は50-90%と報告されている。通常、1回あたり3Gyの照射を10回行うことが多かったが、近年では、より少ない回数でも同等の結果が得られるという報告が出てきた。限られた予後を持つ患者にとって、最適な治療スケジュールを明確にすることは、緩和ケアの分野で非常に有用である。本研究は、最適な放射線量と治療スケジュール(単回照射と多分割照射の効果比較)を探求することを目的としている。 現在の研究成果は、当施設の倫理審査委員会の承認の下、後方視的研究として、東京大学医学部附属病院の電子カルテから止血照射を受けた患者を抽出し、構造化されたデータベースを作成した。同データベースの解析により、放射線量と治療スケジュールによる止血効果の比較だけでなく、原発疾患、全身状態、有害事象、生存期間との関連性についても調査を実施した。この研究の結果は、国内学術集会で発表され、査読付きの英文学術雑誌に論文が掲載された。前年度の研究による成果より、比較的止血照射の適応の頻度の高い胃癌に着目をして本年は研究を遂行し、これに関しても査読付きの英文学術雑誌へと研究成果を発表することができた。 一方、同研究の進展に伴い、客観的な止血診断指標の確立の重要性が明らかになり、今後、収集した臨床データ更なる解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、がんに伴う症状緩和目的の放射線治療において、腫瘍出血に対する放射線治療の効果比較を目的としている。現段階では、後方視的研究として東京大学医学部附属病院の電子カルテから止血照射を実施した患者を抽出し、構造的データベースを作成し、放射線量および治療スケジュールによる止血効果比較を行うと共に、原発疾患、全身状態、有害事象、生存期間との関連に関しても調査を行った。また、同研究成果を国内学術集会において発表し、英文の査読付き学術雑誌に1論文を掲載した。今後は、更なる解析や前向き試験の研究デザインや統計手法を検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として下記を検討する i)客観的な止血診断指標の確立:現在、止血効果の評価には主観的な方法が使用されています。客観的な止血診断指標を確立することで、治療効果をより正確に評価できるようになる。 ii) 統計手法の検討:前向き試験の結果を正確に評価するためには、適切な統計手法を使用する必要がある。院内の臨床研究推進部とも連携して、適切な統計手法を検討する。 iii) 治療後のフォローアップ:放射線治療後の患者のフォローアップが重要であり、治療後の合併症の評価や再発の早期発見に役立つ。
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Causes of Carryover |
COVID19の影響による学会のON-LINE化等。
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Research Products
(18 results)