2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 真子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30779369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血小板凝集塊 / 血栓症 / AI解析 / 医工連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
血栓症は,最も高い罹患率と死亡率をきたす病態である.血小板の活性化と凝集は,血栓症の発症プロセスにおいて重要な役割を担っており,その詳細な解析は血栓症の早期診断や重症化リスクの予測に繋がる可能性がある.しかし生体内の血小板凝集を定量的かつ統計的に解析する手法はなく、的確な臨床検査法の確立が望まれている. 我々は血液中の血小板凝集塊を正確に測定する技術開発に着目し,研究を継続してきた.in vitroで血小板に刺激物質を加えて作成した血小板凝集塊を、高速・高感度光学撮影装置で一つずつ迅速かつ大量に撮像し,その血小板凝集塊の形態から刺激物質の種類を同定する手法の開発に成功した.本研究では,前述の基盤技術を用いて血栓性疾患患者の血液から大規模画像データを取得し,血小板凝集塊のサイズ分布や濃度,形態的特徴などの解析を行う. 本年度は,健常人の血液を用いて装置のバリデーションを行うとともに,サンプル作成プロトコルの検討を行い,プロトコルを以下のように最適化した.採血後の時間経過に伴い,血小板凝集塊が減少するため,採血後4時間以内にサンプル作成を行うこととした.サンプル作成は,クエン酸血を用いて,密度勾配法で赤血球を除去し,蛍光標識抗血小板抗体で血小板を標識,単一血小板または血小板を含む細胞塊を選択的に撮像した.時間経過に伴い抗体の蛍光強度が減弱するため,サンプル作成当日に画像取得まで行うこととした. また,当院の血栓性疾患患者(静脈血栓症、動脈血栓症、COVID-19症例、Dダイマー高値症例)の血液中の血小板、血小板凝集塊の大規模画像データを取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人の血液を用いて装置のバリデーションを行い,データ取得時の変動係数を確認し,サンプル作成プロトコルを確立できた.血栓性疾患患者(静脈血栓症、動脈血栓症、COVID-19症例、Dダイマー高値症例)の血液中の血小板、血小板凝集塊の大規模画像データをおおむね順調に取得できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も血栓性疾患患者の血小板凝集塊の画像データを取得する.また,AIを用いて,血小板凝集塊のサイズ分布や濃度,形態的特徴などの解析を行い,臨床情報とあわせた解析を進め,血栓症の病態を明らかにする.
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Causes of Carryover |
購入済みの各試薬、物品を用いてサンプル作成、測定が可能であったため。次年度分はサンプル作成及び解析に関する消耗品として使用予定である。
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Research Products
(8 results)