2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢心不全患者におけるマイオカインのバイオマーカーとしての臨床的有用性の検討
Project/Area Number |
21K15643
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
植松 学 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00622151)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋や心筋から産生される骨格筋由来因子(マイオカイン)は全身に作用し、他の臓器と連携しながら全身の代謝調整を行うことが明らかになっている。マイオカインはこれまで20種類以上報告されている。本研究はマイオカインと循環器疾患の臨床的側面の関連について明らかにすることを目的としている。 本研究では、当院に入院する循環器疾患患者を対象に末梢静脈血サンプルを採取し、各種マイオカイン値を測定し、疾患重症度、動脈硬化抑制効果、栄養状態、心臓リハビリテーションの効果との関連などを調べる。これによりマイオカインが健康寿命のバイオマーカーとして有用であるかを検証する。 これまで入院患者の症例登録と血液検体サンプルの収集・蓄積とフォローアップを行なうとともに、蓄積した血液サンプルでELISAキットを用いてマイオカインの測定を行なった。候補となるマイオカインXは骨格筋から産生されるマイオカインの一つで、基礎実験において様々な心保護作用が報告されており、臨床的にも循環器疾患の患者の予後予測因子になりうることが報告されている。しかしまだ報告が少なく実臨床における詳細は明らかではない。今回マイオカインX値の測定を行ったところ、全身筋肉量が多いほど、マイオカインXの値は高かった。また有意差はないものの、低年齢、男性、体表面積が大きい、高LDL-コレステロール、低BNPであると、マイオカインX は高い傾向を示した。 またコントロールに比べて、急性心筋梗塞患者でマイオカインX はやや高値を示し、陳旧性心筋梗塞患者でやや低値を示す傾向がみられた。 今後さらに多くの血液サンプルで複数のマイオカインの測定を行い、マイオカインのバイオマーカーとして有用性を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者の症例登録と血液検体サンプルの収集・蓄積とフォローアップデータは順調に蓄積している。 蓄積した血液サンプルの一部をELISAキットを用いて候補マイオカインX値を測定し、臨床データとの関連の検討を行い、一定の傾向を見出した。しかしサンプルの測定、解析が遅れており、数十例にとどまっている。今後複数のマイオカインについてさらに多くの血液サンプルの測定を行い、解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度も循環器疾患で当院に入院する患者を対象に、年間200例を目標として、経時的な末梢静脈血サンプル採取、臨床パラメータチェック、フォローアップを継続する。各種マイオカインをELISAにて測定し、臨床パラメータとの関連を解析する。各マイオカインの差違、バイオマーカーの候補の選定を行う。マイオカインの抗動脈硬化作用、栄養状態の指標、運動やリハビリテーションとの相乗効果について確認していく。
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Causes of Carryover |
令和5年度は主に当院に入院した患者の症例登録と血液検体サンプルの収集・蓄積と患者フォローアップを行なった。またこれまで蓄積した患者検体でマイオカイン値をELISAで測定し、一部の解析を行った。しかし候補マイオカインの選定に時間がかかり、測定・解析が遅れ、数十例にとどまっている。症例数や臨床データは着実に増加してきているため、本年度は複数種類のELISAキットを購入し、各種マイオカインの測定と解析を行う予定である。
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