2022 Fiscal Year Research-status Report
不規則抗体産生因子解析および新規治療法開発に関する研究
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21K15655
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松浦 秀哲 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (30761027)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不規則抗体 / 輸血 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、不規則抗体を保有する症例を集積した。今年度は、不規則抗体保有症例に加えて自己抗体を保有している症例についても集積を行った。不規則抗体は同種免疫によって産生される抗体であるのに対し、自己抗体は免疫寛容の異常や破綻により自己赤血球成分に抗体を産生したものと考えられている。それらに共通するのは、赤血球成分に対して抗体を産生するという点である。これらの症例のHLA遺伝子タイピング(HLA classⅠ; HLA-A, HLA-B, HLA-C, HLA classⅡ; HLA-DRB1, DQB1)を実施している。 まず、2種類の不規則抗体について着目し、HLAと血液型抗原の親和性をin silicoで解析した。その結果、いくつかの種類のペプチドで親和性があることが明らかになった。次のステップは、このペプチドの候補の中から不規則抗体産生に影響していると思われるペプチドをin vitroの実験によって明らかにする。 さらに自己抗体を保有する症例についても前述の通りHLA遺伝子タイピングを実施した。その結果、抗体保有群でHLA classⅡのHLA-DRB1の型の一つが有意に高頻度で存在することがわかった。そのHLA型は他の自己免疫疾患とも関連性があることが報告されており、自己赤血球に対する抗体の産生機序にも関わっていると推察している。引き続き、in silico解析を行い赤血球抗原との親和性の確認を行うと共に不規則抗体群との比較検討も進めていく予定である。 以上、今年度は同種抗体産生と自己抗体産生の2種類の対象に着目することで不規則抗体産生の機序を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HLA遺伝子タイピングまで実施できているが、in silico解析からペプチドを用いた実験が保管細胞のコンディションなどが要因でやや遅延していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
不規則抗体保有症例におけるHLA遺伝子型と抗原の関連性について論文化をすすめる。さらにペプチドを用いた実験も行い新しい知見を得る。また、自己抗体保有症例についても解析を進め、不規則抗体保有症例との比較によっても不規則抗体産生のメカニズムを解明したい。
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Causes of Carryover |
今年度、ペプチドを用いた実験を十分に実施することができなかったため次年度に持ち越し検討を実施する。
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