2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the physiological mechanism of heat shock protein 72 that regulates thrombus formation
Project/Area Number |
21K15665
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 英明 福島県立医科大学, 保健科学部, 准教授 (40642567)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / 抗熱ショックタンパク質抗体 / 血小板 / 血栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は生体内でのHSP72の血小板への作用メカニズムと抗HSP72抗体の出現意義を明らかにするのが目的で研究を遂行している。我々の今までの試験管内研究ではHSP72が血小板の凝集能を増強させ、抗HSP抗体がその作用を抑制することを示唆した。さらに本研究を遂行することで、ストレス条件下で血栓が形成されやすくなる原因究明の一助となり、過度なHSP72 増加の抑制は血栓形成を遅らせ、HSP72および抗HSP72抗体の作用をモニタリングすることで血栓形成の進行を遅らせ心筋梗塞などの血栓形成に起因する疾患の予防に繋がる。 その一環として、血栓症患者の血漿中HSP72濃度と抗HSP70抗体濃度を解析を試みた。血栓症患者の血漿を収集し、市販のELISAキットを用いて血中HSP72濃度や抗HSP72抗体濃度を測定した。さらに血栓形成マーカーと比較検討し解析した。これら結果から、血中HSP72および抗HSP70抗体濃度は、血栓形成マーカーと同様の時間依存的な変化が示された。昨年度は検討症例数が少なかった。詳細な解析のため今後さらに症例s数を蓄積し、より精度の高いデータ解析を実施する。 HSP72 の血小板への作用機序を解明するために、ボランティアの冨血小板血漿を用い、血小板上のHSP72と結合すると思われる標的分子を阻害し、血小板活性化作用のあるADPとHSP72を反応させた場合、阻害しない時よりも血小板凝集が促進しない傾向がみられた。よって、HSP72は血小板上の作用部位を測することができた。今後は、サンプルサイズを増やすことと、蛍光標識抗体を用いて形態学的にHSP72の血小板作用機序を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本学倫理委員会の承認を得て本学附属病院で外来または入院で血栓症と診断された患者のHSP72および抗HSP72抗体を動態解析した。症例数はまだ少ないが、解析は進んでいる。一方、HSP72の血小板への作用機序解明については、ボランティアの冨血小板血漿を用いた検討からおおよその結合部位を予想つけた。今後はフローサイトメトリーによる解析や病理組織的な解析に進む計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は血栓症患者のHSP72および抗HSP72抗体の動態について傾向を得ることができた。今後はこのデータの信頼性を高めるために、より症例数を増やし血栓形成マーカーと比較し、血栓症におけるHSPの動態について解析を積み重ねる。 また、HSP72の血小板作用機序を解明するために、ラットあるいはヒト血小板と血小板活性化因子と反応させ、蛍光標識したリコンビナントHSP72タンパクおよびPE標識CD42抗体を反応後、フローサイトメトリーで血小板上のHSP結合性を解析する。次にHSP72と結合すると予測するTLRをTLR阻害ペプチドでブロックし、血小板活性化因子、FITC標識HSP72およびPE標識CD42抗体によるFCMで阻害ペプチドの量反応性を解析、HSP72結合と血小板上のTLRとの関係性を検証する。 生体内でのHSP72の血小板凝集作用を証明するために、自然誘発的に血栓を形成しやすい実験動物モデルであるアポE欠損マウスに高脂肪食を摂取させ血栓形成を誘発し、HSP72濃度と抗HSP72抗体濃度の変化を経時的にとらえる。さらに高脂肪食アポE欠損マウスにHSP72発現剤テプレノンを投与し、血管内血栓の形成を調査する。血中HSP72濃度、抗HSP72抗体濃度、血栓形成マーカーと酸化LDL濃度を測定し、経時的な血栓形成過程を捉え解析する。
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Causes of Carryover |
今回使用した助成金から物品および旅費を支出し使い切ることはできず、51円余らす結果となった。この金額は次年度の物品費として使用する。
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