2021 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌の治療ターゲットとしての脂質代謝関連因子の病理組織学的検討
Project/Area Number |
21K15670
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宮田 佳奈 帝京大学, 医療技術学部, 助教 (60893641)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / 脂質 / PATファミリー蛋白 / リパーゼ / 免疫組織化学 / 病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺腺癌における脂質代謝関連因子の発現と病理組織学的・臨床病理学的特徴との関係性を評価し、さらに細胞株において脂質代謝関連因子と脂質発現量との関連や、浸潤能・増殖能に与える影響を調べることを目的としている。加えて、癌細胞周囲に存在する癌関連線維芽細胞(CAF)と癌の脂質代謝の関連性の検討についても進めている。 2021年度は、帝京大学医学部附属病院病院病理部に保管されている病理組織検体から適切な原発性肺腺癌の215症例を選択、病理組織標本の再鏡検を行い、組織学的特徴を再評価した。同時に、同一症例の細胞診検体も再鏡検を行い、癌細胞周囲に存在するCAFの形態学的特徴についても評価を行った。続いて、患者予後も含めた臨床病理学的特徴の調査を行い、再発率や生存率、遺伝子変異情報等を明らかにした。さらに、免疫組織化学的特徴の調査のため、ホルマリン固定パラフィン包埋検体を用いて脂質代謝関連マーカー、細胞増殖マーカー、上皮間葉転換マーカー、CAF関連マーカーに対して蛋白の発現の有無や、蛋白の発現強度を調査している。現在、約140症例に対しての免疫組織化学染色およびその評価を行っている。これまでの結果より、細胞内の脂肪滴表面に存在するPATファミリー蛋白や、中性脂肪を分解するリパーゼの発現と癌の分化度との関連が予想されている。今後さらに評価を進めていく予定である。また、蛍光抗体法による各因子の細胞内の発現や局在や、細胞株を用いた脂質代謝関連因子と浸潤能・増殖能との関連についての調査も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学染色のうち数種類の脂質代謝関連マーカーにおいて、最適な条件の検討に時間を要してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続き免疫化学染色およびその評価を行う予定である。全症例終了後、統計学的解析を行い、肺腺癌と関連のある脂質代謝関連因子に対し蛍光抗体法により細胞内の局在を調べる。細胞株を用いた脂質代謝関連因子と浸潤能・増殖能との関連についても調査を進める。
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Causes of Carryover |
免疫組織化学染色の最適な条件検討に時間を要した為、2021年度に予定していた抗体や試薬等の費用の一部が次年度へ繰り越しとなった。次年度は、今年度予定していた免疫組織化学染色を引き続き行うため、その費用に充てる予定である。
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