2022 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌の治療ターゲットとしての脂質代謝関連因子の病理組織学的検討
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21K15670
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宮田 佳奈 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (60893641)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / 脂質 / 免疫組織化学 / 病理 / 癌関連線維芽細胞(CAF) |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、帝京大学医学部附属病院病院病理部に保管されている病理組織検体から原発性肺腺癌の214症例に対し、脂質代謝関連因子、Ki-67、P53、E-cadherin、α-SMAの免疫組織学的検討を行った。それぞれの結果と臨床病理学的特徴について統計学的解析を行い患者予後との比較を行った。統計学的解析の結果、進行したステージで多く、disease-free survivalと有意に関連する因子1つを見出すことができ、組織学的検討において腫瘍の分化度、増殖能、P53変異、上皮間葉転換、リンパ管や脈管侵襲、胸膜浸潤とも有意に関連があることを確認した。同時に、免疫組織学的に患者予後と有意に関連のあった脂質代謝関連因子に対し、肺腺癌培養細胞株を用いた実験を行った。培養細胞株を用いた蛍光抗体法では、細胞質内の脂肪滴と脂質関連因子を同時に可視化することで細胞質内の局在についての確認を行った。さらに、脂質代謝関連因子に対するsiRNAを用いてノックダウンを行い、蛋白質発現の低下を確認した。加えて、増殖能・浸潤能・移動能を確認するため、最適条件を検討した。 また、病理組織検体と同一症例の細胞診検体を再鏡検し、CAFを含むstromal spindle cell(SSC)の形態学的特徴について定義し、出現頻度と臨床病理学的特徴について統計学的解析を行った。細胞診検体でのSSCの出現は進行した癌に多く、リンパ節転移、リンパ管・脈管侵襲、胸膜浸潤と関連があった。加えて、予後に関しては、肺腺癌細胞診検体におけるSSCの出現と肺腺癌の再発に関連が認められることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞株を用いた脂質代謝関連因子のノックダウンの最適条件の検討に時間がかかり、予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、培養細胞株を用いた実験を進める。具体的には、脂質代謝関連因子のノックダウンを行い、増殖能・浸潤能・移動能との関連を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
培養細胞株を用いた脂質代謝関連因子のノックダウンの最適な条件検討に時間を要した為、2022年度に予定していた試薬等の費用の一部が次年度へ繰り越しとなった。次年度は、今年度予定していた培養細胞株を用いた実験を引き続き行うため、その費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)