2021 Fiscal Year Research-status Report
Reverse translational analysis of metabolome abnormality in ALS
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21K15677
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 大輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20879944)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / メタボローム解析 / キサンチン代謝 / リバーストランスレーショナルリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症は難治性進行性の神経変性疾患であり、その進行病態はいまだに解明されていない。 本研究の目的は、予備的検討で行った、孤発性筋萎縮性側索硬化症患者の血清メタボローム解析にて、急速進行患者群と緩徐進行患者群および健常者の3群の間で変化の認められたキサンチン代謝について、in vitroおよびin vivoで代謝介入を行い病態の改善効果の検討および改善効果の機序の解析を通して、筋萎縮性側索硬化症の進行病態の一端を解明することである。キサンチン代謝は酸化ストレスを発生することが知られており、筋萎縮性側索硬化症の病態仮説の1つである酸化ストレス仮説と照らし合わせ、申請者はキサンチン代謝の筋萎縮性側索硬化症への進行病態との関連の可能性に着目した。 まず、家族性筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子であるSOD1G93A変異あるいはTDP-43A315T変異を導入したNSC34細胞にキサンチン代謝に関与する、キサンチン、キサントシン、アラントイン、テオフィリン、テオブロミンをそれぞれ投与し、WSTアッセイを行い細胞のバイアビリティを測定した。これらの化合物の中で、アラントインが最も細胞バイアビリティの改善効果を示した。 そこで、筋萎縮性側索硬化症の病態モデル動物であるSOD1G93Aトランスジェニックマウスに対し、アラントイン0.01%含有餌を、筋力低下発症時から投与を開始した。アラントイン含有餌投与群(n = 23)とコントロール餌群(n = 34)の生存期間を比較したところ、薬剤投与群で平均生存期間 132.2日、コントロール投与群で 129.0日であり、ログランクテストでp = 0.168で有意差を認めなかった。in vitroの薬剤スクリーニングで効果が認められた他の薬剤にて効果の検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時の予定であった、in vitroでのキサンチン代謝物スクリーニングが完了し、その中で最も効果が認められたアラントインのALSモデルマウス(SOD1G93Aトランスジェニックマウス)への投与を行い、生存解析を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
筋萎縮性側索硬化症患者の血清でみられたキサンチン代謝異常に対する介入を行ったが、ALSモデルマウスの病態改善効果は認められなかった。 今後は、筋萎縮性側索症患者の血清メタボローム解析で異常の認められた、他の代謝異常に対して、同様の細胞モデルを用いた解析と動物モデルを用いた解析を行い、ALS患者でみられた代謝異常の中で、病態に寄与している代謝経路を見出すことを目標とし、研究を進める、
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