2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞外小胞に内包される神経・グリア特異蛋白を用いた認知症血液バイオマーカーの開発
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21K15682
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤嶺 祥真 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任助教(常勤) (00846222)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / プロテアーゼ保護アッセイ / エクソソーム / バイオマーカー / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り血漿EV内タンパクの解析手法の検討を行った。血漿から効率的かつ特異的にEVを分離できる手法としては、サイズ排除クロマトグラフィー法およびPS-Tim4アフィニティー法が適していると考えられた。サイズ排除クロマトグラフィー法単独ではタンパク濃度が低く、限外濾過法によるEVの濃縮が必要であると考えられた。この2手法についてプロテアーゼ処理が適応可能である事、およびEV構造を破壊する処理を行った状態ではEV内・EV外いずれのタンパクも効率的にプロテアーゼによる分解が行われる事を確認した。 また、EV構造を破壊しない状態でプロテアーゼ処理することで、EV内タンパクが分解されないことを確認した。EV外に一部ドメインが露出している膜貫通タンパクについては、ほぼ完全に分解されたタンパクと、分解されないタンパクが存在する事が分かった。 この「EV外に一部が露出しているにも関わらずプロテアーゼによる分解を受けないタンパク」は、EV外に露出した部分を認識する抗体により検出できることから、EV外ドメインが何らかのプロテアーゼ耐性を保持している可能性を考えた。データベース検索などから、このタンパクのEV外ドメインでは特定の翻訳後修飾によりプロテアーゼへの耐性を得ている事が推測された。この翻訳後修飾を除去する処理を行うことでプロテアーゼ耐性が失われ分解されることから、この仮説が裏付けられた。なお、翻訳後修飾の除去処理単独では抗原性は失われなかった。 次年度は、プロテアーゼ処理条件の最適化および高感度測定系との適合性を評価したのち、神経・グリア細胞に特異的なタンパク濃度を測定し、その妥当性および再現性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、血漿からの細胞外小胞分離法の比較選択およびプロテアーゼ処理法の条件検討を実施し、当初の仮説に矛盾しない形で一定の知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現行の仮説を維持し、高感度測定系(Simoa)へのプロテアーゼ処理後サンプルの適合性を評価する。プロテアーゼを効率的に失活させることが高感度測定系へのアプリケーションに非常に重要なパートであると考えられるため、まずこの点に注力する。次いで、バックグラウンドシグナルへの悪影響等も評価していく。可能であれば、健常血漿を用いて再現性良く測定できるターゲットを絞り込み、第3年度の患者血漿測定へ効率よく橋渡しする事を試みる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が順調であり、予定よりも少ない実験回数で結果が出たため。来年度の検証に必要な物品に充てる予定である。
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