2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K15698
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
多田 有似 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (90881285)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多系統萎縮症 / 神経変性疾患 / 原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)は孤発性脊髄小脳変性症の一種で、 自律神経障害・錐体外路症状・小脳性運動失調の3つの症状がさまざまな割合で出現することを特徴とする神経変性疾患である。日本では約1万2千人の患者が存在している。原因遺伝子を同定することは疾患の発病メカニズムの解明や治療法の開発には重要であるにもかかわらず、MSAでは明確な原因遺伝子が報告されていない。これは MSAの大部分が孤発性であるために、家族性疾患では可能な家系での分離ができず、 原因遺伝子の絞り込みが困難であることが一因である。近年では大規模コホートでのスクリーニングが実施されているが、孤発性MSAの原因遺伝子は明確に同定されなかった。 所属研究室ではMSA血族婚家系において原因遺伝子Aを同定した。これは、極めて稀なMSA血族婚家系の解析結果を根拠にしたものである。本研究では、原因遺伝子Aを孤発性MSAにおける新たな原因遺伝子として同定することを目的とする。この遺伝子を孤発性MSAの原因遺伝子と しても同定できれば、全く分かっていない孤発性MSAの遺伝的要因を新たに示すものとなり、MSAの病態解明に新しい知見をもたらすことが期待される。 現時点では孤発性MSA検体100例に対してシーケンスを実施したが、遺伝子Aに病原性の高い変異は見つからなかった。そこで、さらに検体を増やしてスクリーニングを実施することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点では100例の孤発性MSA検体に対して遺伝子Aの配列を解析したが、疾患の原因となるような病原性の高い変異は同定されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
孤発性MSA検体をさらに100例解析し、遺伝子Aのエクソン領域に存在する病原性の高い変異を同定する。エクソン領域に変異が同定できなかった場合は、ノンコーディング領域も解析対象にする。
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