2023 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病におけるGDF15測定の有用性の検討と神経炎症に及ぼす作用の解析
Project/Area Number |
21K15699
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宮上 紀之 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10785497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GDF15 / パーキンソン病 / パーキンソン症候群 / バイオマーカー / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
PD患者46人、進行性核上性麻痺(PSP)15人、多系統萎縮症(MSA)患者12人を対象とし、診断バイオマーカーとしてのGDF15の有効性を検討した。血中GDF15値は、PD患者が1394.67±558.46 pg/mLで、MSA患者の978.42±334.66 pg/mLより有意に高く(p=0.014)、PSP患者の1491.27±620.78 pg/mLと有意差はなかった(p=0.573)。各患者群で血中GDF15値と関連する因子を検討したところ、PD患者では、年齢(r=0.458、p=0.001)、罹病期間(r=0.314、p=0.034)、modified Rankin Scale(r=0.407、p=0.005)と相関を認めた。PSP患者では、年齢(r=0.565、p=0.028)とのみ相関を認め、MSA患者では、年齢(r=0.708、p=0.010)、罹病期間(r=-0.638、p=0.026)と相関がみられた。いずれの群においても血中GDF15値は年齢との間に正の相関を認めたことから、年齢を考慮した多変量解析を行ったところ、PD群とMSA群の間の血中GDF15値の差は有意ではなかった(p=0.144)。 次に、神経炎症の中核を担うミクログリアを介したGDF15の作用を検討した。フローサイトメトリーでは、GDF15投与ラットにおいてCD11b、CD45の発現が有意に増加した。ソーティングを行ったミクログリアにおいて、GDF15投与ラットではIL-1β、CD32のmRNA発現が有意に増加した。初代培養ミクログリアを用いた検討でも、GDF15はCD11bとCD45の発現およびIL1βとCD32のmRNA発現を有意に増加させ、さらに亜硝酸塩の産生も増加させた。片側PDモデルラットにおいて、健側に比べて病側ではGDF15のmRNA発現が有意に増加した。
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