2021 Fiscal Year Research-status Report
思春期心身機能の健やかな発達を評価する集約的ゲノム指標の開発
Project/Area Number |
21K15708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池亀 天平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00836736)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | epigenetics / GWAS / polygenic risk score / 思春期コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目はTTCサンプルにおけるPRS解析に向けて、当初の予定通り1000検体を超えるサンプルをジャポニカアレイNEOによるSNP解析を行った。更にSNP解析データは東北大学メディカル・メガバンクで全ゲノムインピュテーションを行い、約1000検体については解析が完了している。PRS予測モデルの構築については、PLINK及びPRSiseの2種類の解析ツールを用いている。予備的段階であるがPRSの算出に成功しており、データが揃い次第、思春期発達情報との関連解析を行う予定である。 2年目以降のDNAメチル化解析については、pnTTC第1期から第3期まで縦断検体として存在するものを対象とし、最終的に各150検体の合計450検体に対してゲノム網羅的DNAメチル化解析を行うこととした。対象となる検体の唾液サンプルよりDNA抽出を実行し、第1期150検体の唾液DNAについては精製終了している。第2期、第3期分の唾液DNAについても精製中であり、今年度内には終了する見通しである。Infinium Methylation EPIC Kitを用いたメチル化解析については熊本大学大学院分子脳科学教室との共同研究により、解析を進める予定である。 本研究助成金により、検体収集・精製、全ゲノムインピュテーション解析依頼、解析ツール利用研修など、研究計画の初期段階に必要となるデータ準備や解析技術習得などが行えた。現時点では報告できる解析結果は十分に得られていないが、研究進展は順調であり今後収集されたデータの解析により、思春期発達における心身機能の評価機構の確立を十分に目指せると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TTCサンプルにおけるPRS解析に向けて、当初の予定通り1000検体を超えるサンプルをジャポニカアレイNEOによるSNP解析を行った。更にSNP解析データは東北大学メディカル・メガバンクで全ゲノムインピュテーションを行い、約1000検体については解析が完了している。PRS予測モデルの構築については、PLINK及びPRSiseの2種類の解析ツールを用いている。予備的段階であるがPRSの算出に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
TTCのサブセットであるpn-TTC(Population Neuroscience TTC:pn-TTC)では、300検体を 対象とし、第1期:11歳、第2期:13歳、第3期:15歳と縦断的に生体情報が取得されている。 DNAメチル化解析は、3時点でのデータ合計900検体で行う。 DNAメチル化解析対象領域として、1)精神疾患感受性CpG部位、および、2)epigenetic ageなどのバイオマーカー候補CpG部位の解析を行う。精神疾患感受性CpG部位として、申請者らがこれまで同定してきた精神疾患で頑健な変動を認めたCpG部位(約10ヶ所)、および国外の網羅的メチル化解析で同定されたCpG部位のうち、論文内で独立した手法によるvalidationが行われているか、他グループによる再現報告があるCpG部位(約20ヶ所)を対象とする。また、バイオマーカー候補部位として、年齢、死亡率、テロメア長、生活習慣を 評価するCpGの計測を行う。年齢についてはHorvathの原法では353ヶ所の測定が必要であるが、後継研究により10カ所での利用が最も予測が精密になることが示されており、本計画では後継研究で報告されたCpG部位を利用する。1)および2)で合計して40ヶ所を目途にDNAメ チル化測定を行う。研究開始2年後までの達成目標として、40ヶ所のCpG部位に関して次世代 シークエンサーでのマルチプレックスアンプリコンシークエンシングの実験系を確立する。 バイサルファイト変換処理後のゲノムDNAに対する各アンプリコンに対し、定量直線性を検量線DNAの利用により検証する。最終的に、中規模次世代シークエンサー利用による96検体 同時処理を目標とし、900検体でのデータ取得を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の流行に伴い、学会活動などが制限された為、次年度使用額が生じた。
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