2022 Fiscal Year Research-status Report
MRSを用いた統合失調症における大脳基底核GABA機能異常の解明
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21K15709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 直大 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (40797122)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合失調症 / MRS / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は慢性に経過する精神疾患であり、病態仮説の一つとしてGABA機能異常が知られている。 パルブアルブミン陽性インターニューロン等によるGABAの伝達はγ帯域オシレーションの形成に重要な役割を果たしており、その異常が統合失調症の病態と関連すると考えられる。MRIの撮像法の一つにMRスペクトロスコピー(MRS)があるが、近年はGABA濃度を測定することが可能になった。最近のMRI構造画像研究により、統合失調症における大脳基底核の体積増加が示されている。また、大脳基底核に関連する直接路および間接路はともに、GABA機能との関連が示されている。したがって、大脳基底核におけるGABA機能を調べることは重要である。本研究では、統合失調症患者を対象として、関心領域を大脳基底核に設定し、MRSデータを取得する。また統制群として、健常者のほか、大うつ病性障害、双極性障害、自閉スペクトラム症の患者も対象とする。これらのデータを用いて、疾患横断解析および症状関連解析を施行する。また、安静時脳機能画像も取得し、脳ネットワークと大脳基底核GABA濃度との関連を探索する。令和4年度には、既存の大規模思春期コホートMRSデータを用いて、GABAと関連の大きいグルタミン酸の脳内濃度と統合失調症発症リスクとの関連を探索し、脳内グルタミン酸濃度が、統合失調症発症リスク因子である閾値下精神病症状およびいじめ被害との関連があることを見出した。またこの解析結果について、論文投稿をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度も、新型コロナウイルス感染症流行によりMRI撮像を含む研究活動が制限されたため、データ取得に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度には、被験者リクルートとデータ取得を継続する。さらには、予備解析に関する学会発表を行い、国際英文誌への投稿を目指し論文を作成する。令和6年度には、被験者リクルートとデータ取得を年度途中まで継続する。本解析を開始し学会発表を行い、国際英文誌への投稿を目指し論文を作成する。
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Causes of Carryover |
感染症の流行により、MRI撮像(データ収集)が遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度以降、データ収集(MRI利用料・謝金)、成果発表(学会発表・論文発表等)等に使用する計画である。
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