2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15713
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹之下 慎太郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (60839281)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | てんかん / 認知症 / 軽度認知障害 / 抗てんかん薬 / 知的障害 / ダウン症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
①認知予備能の影響により認知症リスクが高いとされる知的障害者において、てんかんと認知症の関係を明らかにする調査を行っている。全国各地の知的障害者福祉施設において、20歳以上の知的障害者を対象に横断調査を行い、1965例のデータを収集した。全ての例について一例ずつ認知症専門医が介護者と面接を行い、医療や経過に関する情報を収集し、認知機能障害を疑う例は直接診察して認知症の有無を診断した。1965例中164例が認知症と診断され、1965例中814例にてんかんの既往があった。解析が終了した研究成果について、第62回中国・四国精神神経学会(鳥取県)、第41回日本認知症学会学術集会 第37回日本老年精神医学会 合同開催(東京都)で発表した。
②遺伝的リスクにより認知症有病率が高く、てんかん有病率も高い、ダウン症候群において、てんかんと認知症の関係を明らかにする横断調査を行っている。データを解析し、ダウン症におけるてんかん合併の頻度・危険因子・治療の現状を調べた。2022年12月に、アンケート調査および、調査員(医師・公認心理師)と対象者の家族がオンラインで実施した面接調査を完了した。アンケートの対象者は合計985例、面接調査は105例だった。データは解析中だが、解析が終了した研究成果は、第4回日本ダウン症学会学術集会(オンライン)、日本発達障害学会第57回研究大会(オンライン)で発表した。
③岡山大学病院を外来受診した軽度認知障害患者を対象に、軽度認知障害におけるてんかん合併率の調査を行っている。認知機能障害とてんかん合併に関する情報を収集している。SARS-COV2流行のため、研究目的の検査入院に制限があり、長時間ビデオ脳波モニタリング検査の実施に難渋しているが、症例を組み入れ、認知機能障害の評価と、てんかん合併と抗てんかん薬の内服、経過に関する情報を収集している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、SARS-COV2流行のため研究計画の一部変更を余儀なくされたが、令和4年度は概ね予定通り研究を進展させることができた。解析途中のデータも残っているが、概略的な調査結果を、既に4つの国内学会で発表することが出来たことは大きな成果である。 上記①~③の研究に分けて、進捗状況を記載する。 ①「施設で生活している知的障害者におけるてんかんの実態について調査する研究」は、調査が完了し、データ入力と解析も完了している。現在は論文を作成し成果報告の準備をしている。 ②「ダウン症におけるてんかんの実態について調査する研究」は、アンケートと面接が完了し、情報収集が終了している。現在はデータの入力中である。 ③「てんかんが認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにする研究」は、岡山大学病院を外来受診した軽度認知障害患者を対象として、令和5年度も対象症例の組み入れを継続し、データの収集を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度について以下の方針で研究進展を図りたいと考えている。 上記①~③の研究に分けて、記載する。 ①「施設で生活している知的障害者におけるてんかんの実態について調査する研究」については、解析が完了したため、学会発表と、論文の投稿と最終的な成果報告に注力していく方針である。 ②「ダウン症におけるてんかんの実態について調査する研究」については、データの入力が完了後、解析を行い、学会発表と、論文作成を進める予定である。令和5年度は、研究補助者を雇用して、研究進展を加速化したいと考えている。 ③「てんかんが認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにする研究」については、岡山大学病院を外来受診した軽度認知障害患者を対象として、令和5年度も対象症例の組み入れを継続し、データの収集を進める。てんかんのスクリーニングについて、大学病院精神科病棟の入院環境のみで実施可能である長時間ビデオ脳波モニタリング検査に加えて、外来環境でも実施可能な通常脳波検査も選択肢に加えて、対象症例の確保を加速していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
(理由)令和4年度は、インターネットおよび書面でのアンケート調査、オンラインでの面接調査、大学病院精神科病棟での調査を実施し、結果を報告した。いずれも意義のある調査だったが、研究補助者の雇用はなく、研究費の使用額は見込み額よりも少額で済んだ。令和5年度に実施する「てんかんが認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにする研究」を開始する準備に多くを費やしたため、研究費の多くの部分は次年度へ繰り越した。令和5年度は研究補助者を雇用し、データの入力と整理を実施し、研究を迅速に進めていきたい。
(使用計画)研究に関する連絡業務、検査実施、データ入力に関して研究補助者の雇用を予定しており、繰り越した金額を含めて、来年度予算を組んでいる。研究遂行と成果発表に向けて、関連書籍等購入・学会発表・論文投稿を予定しており、その費用と雑費を予算に含めている。
|
Research Products
(4 results)