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2022 Fiscal Year Research-status Report

気分障害におけるミトコンドリアDNA体細胞変異の一分子単位解析

Research Project

Project/Area Number 21K15722
Research InstitutionJuntendo University

Principal Investigator

西岡 将基  順天堂大学, 医学部, 准教授 (00780503)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsミトコンドリアDNA / ヘテロプラスミー / 分子バーコード / 一分子シーケンス / 精神疾患 / 気分障害 / 双極性障害 / 死後脳
Outline of Annual Research Achievements

双極性障害をはじめとする気分障害とミトコンドリアDNAヘテロプラスミー変異との関連を検証するために、死後脳におけるミトコンドリアDNAヘテロプラスミーを一分子単位で検出し、疾患群と対照群を比較した。ミトコンドリアDNAヘテロプラスミー変異は、dual molecular barcodeを用いて一分子レベルの解像度で検出し、対象試料には、双極性障害患者・対照健常者に加え、疾患コントロールとして統合失調症患者由来試料を用いた。本年度は、昨年度の21試料に加え、新たに19名ずつの双極性障害患者・対照健常者・統合失調症患者由来死後脳DNA(合計78試料)に、昨年度に確立した分子バーコードを用いたミトコンドリアDNAターゲットエンリッチメントシーケンス・情報解析方法を適用した。AGeNT, fgbioを用いたエラー率10e-6未満の解析にて、患者群でClinVarに登録されている病原性の高い変異が多く検出された。双極性障害では一例から、ミトコンドリア病MELASの原因変異であるm.3242A>Gが数%のヘテロプラスミーとして検出されたが、コントロール群では同種の変異が検出されず、計画仮説1「双極性障害では病的ヘテロプラスミーが多い」に支持的かつ、Munakata et al. Biological Psychiatry 2005にも支持的な結果であった。一方、ミトコンドリアDNA一塩基あたりの変異数は、双極性障害・統合失調症・コントロールで差はなく、計画仮説2「双極性障害ではミトコンドリアDNA一塩基あたりの変異率が高い」に否定的な結果であった。以上から、ミトコンドリアDNAと双極性障害の関連は、数%以上の病的なヘテロプラスミーにある可能性が高いと考えられ、この検証のためさらなるサンプルサイズの拡大を行うこととした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度に確立したAgilent SureSelect XT HS2システムを用いたライブラリプレップ・ミトコンドリアDNAプローブを用いたターゲットエンリッチメント・Illuminaショートリードシーケンサーによる超高深度シーケンスを、実際の死後脳試料に適用し、十分なシーケンスリードが確保された。予定していた計57サンプルに適用し、昨年度の21サンプルと合計して78サンプルのシーケンスデータを得た。昨年度に確立したAGeNT, fgbio, BWA, GATKを用いた情報解析パイプラインのシーケンスデータへの適用結果も、これまでの報告されているミトコンドリアDNAの変異率と一貫性のある結果であり、技術的に妥当な解析結果が得られたと考えられる。上記実績の概要の通り、計画仮説を検証するための結果が得られており、計画として順調に進行している。

Strategy for Future Research Activity

計画仮説1「双極性障害では病的ヘテロプラスミーが多い」に支持的な結果が得られたが、サンプルサイズが十分に大きくないため、統計学的な結論を得るには検出力が不足している。双極性障害死後脳は数が少ないため、国内外のブレインバンクと連携することで、サンプルサイズの拡大を行っている。新たに、双極性障害・統合失調症・コントロール各35例ずつの死後脳試料の準備を進めており、準備が完了次第、これまでと同様のライブラリプレップ・シーケンス・解析を行う。新たな試料によって、合計183死後脳DNA試料の解析を行うことになり、計画仮説1「双極性障害では病的ヘテロプラスミーが多い」をさらに検証していく。計画仮説2「双極性障害ではミトコンドリアDNA一塩基あたりの変異率が高い」に否定的な結果が得られているが、これについてもより大きなサンプルサイズで検証を行う。仮説の検証を行って結果を得るとともに、論文化を進める。

Causes of Carryover

2022年度では、予定通りの試料数にて計画を進行したが、よりロバストな結論を得るためにはより大きなサンプルサイズでの検証が望ましいと考えられた。当初は死後脳試料の希少性から検体入手の困難が予想され、計画サンプルサイズを現実的な数値としていたが、当初の予定以上の試料を入手できる見込みがたった。しかし2022年度中には入手できず、2023年度前半での入手予定となり、次年度使用額を準備することが、資源をより意義ある形で配分でき全体の成果を高めると判断した。2023年度は申請中の試料を入手次第、これまでと同様のライブラリプレップ・シーケンス方法・情報解析を行うことに予算を使用し、一分子レベルの解像度でミトコンドリアDNAのヘテロプラスミー変異を検出する。総数183死後脳DNA試料の解析を行うことで、ロバストな結論を得ることを目指す。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] The Current Progress of Psychiatric Genomics2022

    • Author(s)
      NISHIOKA MASAKI
    • Journal Title

      Juntendo Medical Journal

      Volume: 68 Pages: 2~11

    • DOI

      10.14789/jmj.JMJ21-0038-R

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 精神医学奨励賞 受賞講演2022

    • Author(s)
      西岡将基
    • Organizer
      第118回日本精神神経学会学術総会、福岡、2022年6月25日
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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