2022 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の自閉症的特性/オキシトシン/バソプレシンに着目した治療反応性の検討
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21K15724
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲田 祐介 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (40836962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統合失調症 / バソプレシン / オキシトシン / 社会認知機能 / 自閉症的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自閉症的特性・オキシトシン系システム・バソプレシン系システムと、統合失調症の治療抵抗化の関連を検討するものである。 近年、統合失調症の自閉症的特性を評価する目的でPANSS autism severity score(PAUSS)が用いられ、様々な報告がなされてきているが、本研究でもPAUSSを用いて自閉症的特性を評価している。今年度の成果として、PAUSSのスコアが統合失調症の治療抵抗化に関与する可能性が示唆されたことに加えて、統合失調症の社会認知機能障害と相関があることが明らかとなっている。また今年度は特にPAUSSとバソプレシン関連遺伝子の機能的多型に着目した解析を行なっている。その結果、自閉症的特性にはバソプレシン 1a受容体、バソプレシン1b受容体の機能的多型が関与する可能性を示唆する結果が得られている。 いずれの結果も、統合失調症の治療抵抗化に関与する因子として意義のあるものであり、症候学的、生物学的にも重要な結果であると考えられる。すなわち、自閉症的特性が高く、社会認知機能障害が不良である統合失調症患者は治療抵抗性に至る傾向があり、その生物学的背景にバソプレシン系システムの調整障害が関与している可能性が示唆されている。 今後の計画としては、さらに研究協力者のリクルート数を増やし、これらの結果に再現性が得られるか否かを検討することや前向きな観察期間を設けて検討する必要性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、PAUSSとバソプレシン関連遺伝子の機能的多型との関連につき投稿中である。研究協力者の数も増えてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、現状ではオキシトシン、バソプレシンを各々評価している状況であるが、それらを包括的に検討していきたいと考えている。また、更なるリクルート活動の推進のため、研究参加の呼びかけ等を積極的に行なっていく。引き続き、学会発表や論文執筆活動も継続していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19関係で、実験やリクルート、学会発表等に支障がでたため、次年度に繰越とし使用する予定である。
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