2022 Fiscal Year Research-status Report
抑制性神経伝達障害に着目した統合失調症の新規治療法開発
Project/Area Number |
21K15742
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
藤原 和之 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (20735154)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | GABA / 抑制姓神経伝達 / GAD67 / ゲノム編集 / ノックアウトラット |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:合失調症は人口の1%が発症する代表的な精神疾患である。その細胞レベルの病態として、GABA合成酵素であるGAD67の発現低下が注目されている。我々は最近、GAD67をゲノム編集法で人工的に欠損させたGAD67ノックアウトラットを開発した。予備的な研究により、GAD67ノックアウトラットは認知機能の障害が示唆されている。こうした予備研究では、主に雄のGAD67ノックアウトラットを用いて解析を行ってきた(Fujihara et al. 2020, 2021)。ヒトの統合失調症においても、発症年齢や予後や症状の特徴において性差が指摘されている。他の統合失調症モデル動物でも雌雄差が報告されている例があり、我々のモデル動物においても、行動学的表現型に性差がある可能性も棄却できない。
実績1:本研究では、開発したモデル動物の治療可能性を検討することが目標であるが、本年度は基礎データとしてGAD67ノックアウトラットの行動学的表現系に雌雄差があるか否かを明らかにする作業を行った。雌のGAD67ノックアウトラットと同腹仔の雌を成獣期に比較したところ、オープンフィールド試験では低活動を示したが、高架式十字路試験では変化が見られなかった。これらは雄のGAD67ノックアウトラットと同様の所見であった。また、サンプルサイズが十分ではないが、Y字迷路試験では自発交替行動が減少しており減少しており、雄同様に空間作業記憶の低下が示唆された。
実績2:GAD67ノックアウトラットでは、もう一つのGABA合成酵素であるGAD65が代償的に増加している。しかし、実際の統合失調症ではGAD65の減少が報告されるようになってきた。GAD65の減少が統合失調症の認知機能に与える影響も検討するため、GAD65ノックアウトラットも導入、繁殖を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前項目の通りGAD67ノックアウトラットの基礎的な表現系の解析は順調に進行しているが、GAD67分子をレスキューするためのGAD67-FLExラットの確立には至っていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
GAD67ノックアウトラットは66%が離乳前に死亡するため、実験に必要な個体の確保に繁殖の労力・コストを要する。そのため、GAD67ヘテロノックアウトラットで代替可能かどうか、ヘテロノックアウトラットではどの程度の行動学的異常を示すのかについても解析を進め、効率的に実験を進められるよう工夫したい。
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Causes of Carryover |
行動実験系の確立に必要な個体数が予想より少なく済んだこと、また、行動実験系確立に専念しておりGAD67-FLExラットの繁殖を制限したため、動物飼育費が少なかった。来年度は、繰り越し分を用いて遅延している実験部分に充当する予定である。
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