2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of AMPA receptor levels in the brain on bipolar disorder, and its neural basis
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21K15748
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
太田 航 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80866541)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 躁状態 / AMPA 受容体 / PET トレーサー / 小脳 / リバーストランスレーショナル研究 / マウス / 行動テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
躁状態と抑うつ状態を不定期に繰り返す双極性障害は、社会的な機能障害を伴う生活の質の重大な低下をもたらす気分障害である。しかし、双極性障害の生物学的基盤(患者脳内において分子レベル・神経回路レベルでどのような変化が起きているか)に関する理解は立ち後れているのが現状である。 研究代表者の所属研究室では、興奮性シナプス入力の大半を担う AMPA 受容体をヒト生体脳で可視化・定量化する世界独自の技術となる PET(ポジトロン断層法)トレーサーの開発に成功している(Miyazaki et al., Nature Medicine, 2020)。また、この AMPA 受容体標識 PET トレーサーを用いて双極性障害患者の脳内 AMPA 受容体分布を画像化した結果、躁状態の臨床スコア(重症度)が高いほど、小脳における AMPA 受容体量が減少している(負の相関がある)ことが明らかになっている(未発表)。 本研究では、この臨床研究によって明らかとなったヒト双極性障害患者の小脳における AMPA 受容体の表現型を根拠とし、short hairpin RNA(shRNA)技術を用いて AMPA 受容体の GluA1, 2, 3, 4 のサブユニットの発現を小脳で低下させたマウスを作製した(リバーストランスレーショナルアプローチ)。このマウスについて、躁状態を評価可能な複数の行動テストを行った結果、躁様行動(強制水泳テストおよび尾懸垂テストにおける無動時間の短縮や、ショ糖嗜好性の上昇)が観察された。これらの結果により、双極性障害の躁症状は小脳の AMPA 受容体量の低下によって引き起こされている可能性が示唆された。 本成果は、双極性障害の生物学的基盤を明らかにする上で貴重な知見であり、基礎研究による論理的根拠に基づいた新規診断・治療法の開発への貢献も期待されるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画(目標)通り、マウス小脳の AMPA 受容体量の低下によって躁様行動が引き起こされる可能性を示唆する結果を得ることができた。また、申請段階で予備的に得られていた「強制水泳テストや尾懸垂テストにおける無動時間の短縮」に加え、当初予定していなかった新たな行動テスト(ショ糖嗜好性試験)によって、別の視点から躁様行動(ショ糖嗜好性の上昇=快楽追求)を認められたことは、本動物モデルの妥当性を高める大きな進展であったと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
双極性障害の躁状態が、小脳 AMPA 受容体量の低下に起因している可能性についてはある程度示すことができた。一方、この現象がどのような神経回路によって制御されているかは依然不明である。現在、順行性の神経トレーサー(アデノ随伴ウイルスベクター)を用いた実験により、小脳の主要なアウトプット経路である深部小脳核からの投射先の絞り込みが順調に進展している。今後は、この実験で絞り込んだ経路特異的に薬理遺伝学的手法(DREADD 法)を適用し、躁状態を制御する神経回路の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、現地参加として計上していた学術大会がすべてオンライン参加となったことや、購入した設備備品が想定よりも安価に手に入ったことなどにより、余剰(次年度使用額)が生じた。 当初の研究経費配分は令和 4 年度が最も少なくなっていたが、令和 3 年度からの繰り越し分を設備備品費・消耗品費に企てることによって、より研究を充実・加速させることが可能になると考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Reduction of cerebellar AMPA receptors induces bipolar mania-like behavior in mice2021
Author(s)
Wataru Ota, Susumu Jitsuki, Tomomi Yamanoue, Tomoyuki Miyazaki, Waki Nakajima, Mai Hatano, Akane Sano, Hideaki Tani, Nobuhiro Nagai, Teruki Koizumi, Shinichiro Nakajima, Masaru Mimura, Hiroyuki Uchida and Takuya Takahashi
Organizer
The 44th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society / The 1st CJK International Meeting
Int'l Joint Research