2022 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of T cell exhaustion using ImmunoPET
Project/Area Number |
21K15764
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野橋 智美 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00886319)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 疲弊化 / PET / 分子イメージング / Tim-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスメラノーマB16細胞株を用いて免疫チェックポイント阻害薬に対する治療耐性を確認しようと試みたが、治療効果が全くみられなかったため、細胞株を変更することとした。 マウス大腸がんMC38細胞株の両足皮下腫瘍を作成し、治療効果を観察したところ、PD-1阻害薬200マイクログラム+LAG-3阻害薬200マイクログラムそれぞれ腹腔内投与+CpG50マイクログラム腫瘍内投与を隔日3回の治療レジメンにて、最も有効であり、11匹22箇所中、9匹19箇所にて腫瘍の完全消失(CR)、2箇所にて明らかな腫瘍の増大遅延(SD)、1箇所にて治療効果なし(PD)をみとめた。腫瘍完全消失後に再発する腫瘍はみられなかった。本レジメンでは治療効果が強すぎると判断し、このレジメンから引き算する形で、SDが最も多いレジメンを探索した。 結果、PD-1+CpG3回投与では5匹10箇所中、7箇所でCR、3箇所でSD、PD-1単剤3回投与では10箇所中5箇所でCR、3箇所でSD、2箇所でPD、PD-1単剤2回投与では12箇所中、2箇所でCR、1箇所でSD、7箇所でPD、PD-1単剤1回投与では12箇所中、1箇所CR、1箇所SD、10箇所PDという結果になり、SDの最も期待されるレジメンはPD-1+CpGないしPD-1単剤の3回投与とわかった。 MC38細胞株での免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を確認できる前に実施したマウス大腸がんColon26細胞株において、腫瘍や免疫組織における、Tim-3発現細胞について検討を行ったところ、治療反応性の確認できなかったマウスにおいてはある程度の治療効果のみられたマウスに比べて腫瘍内、リンパ節、脾臓においてTim-3発現細胞が多くみられた。Tim-3発現率は腫瘍への治療抵抗性を反映している可能性があり、さらに検討を重ねる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた細胞株では免疫チェックポイント阻害薬の治療効果が期待できなかったことから、細胞株の選定し直しから始めることとなった。 また、「一旦は治療効果が見られるが再増大をきたす」経過をたどる丁度良い治療レジメンの探索に時間を要した。 さらに、コロナによりZr生成用のサイクロトロンの設定に必要な技術者を海外から招聘できず、時間を要した(最近設定が完了し、次年度はZr生成が可能と思われる)。 また、動物施設にてPET撮像機器が故障しており、こちらは修復の見込みが立っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、治療効果が見られるマウスと一時的な効果のみみられるマウス、治療効果のないマウスの3郡がほぼ均等にみられるPD-1阻害薬単剤の3回投与にて、治療開始後day10前後での腫瘍や脾臓でのTim-3発現を免疫染色にて確認する。また、Zr-Tim-3を合成し、PETの修理が完了していれば、PETを撮像、そうでない場合にはオートラジオグラフィやバイオディストリビューションにて疲弊化細胞を反映したTim-3集積の分布を確認する。
|
Causes of Carryover |
免疫チェックポイント阻害薬にある程度の治療効果のあるマウス腫瘍モデルの探索と、治療方針の確立に時間を要した。また、コロナ禍による技術者の来日が非常に遅延し、サイクロトロンの調整に時間を要したため、Zr製剤の生成が予定より遅れている。さらに、動物用PETの故障により撮影の目処は立っていない。 次年度は、まずMC38腫瘍細胞株にターゲットを絞り、腫瘍モデルでの免疫チェックポイント治療薬の効果と、再増大する経過の再現性を確認する。また、可能であれば、治療効果のある時点と、再増大するタイミングでの病理組織を採取し、腫瘍や免疫組織でのTim-3の発現がどのように異なるか、再増大するタイミングの方が発現量が多くなるかを観察する。最終的にはTim-3を標的としたRI製剤を作成し、治療効果のある時点と、再増大するタイミングのそれぞれに動物に投与して、PETの修理が完了している場合には撮影、故障が継続している場合にはbiodistributionにて腫瘍などにおける薬剤の分布を確認し、再増大の兆しのあるマウスでは腫瘍への集積が上昇することを確認する。
|